カラスノエンドウ(ヤハズエンドウ)の塗り絵
カラスノエンドウ(ヤハズエンドウ)の特徴
春の空き地をおおう、つる草
カラスノエンドウは、校庭のすみや土手、空き地に生えるつる草だよ。3月から6月にかけて、赤むらさきの小さな花をつけるんだ。
まっすぐ立つのではなく、まわりの草にからみつきながら広がっていくよ。だから群れて生えると、あたり一面がカラスノエンドウのしげみになるんだ。
マメの仲間で、エンドウ豆、つまりグリンピースと同じ科。よく見ると、花も葉もさやも、ミニチュアのエンドウ豆そっくりだよ。
葉の先が「矢筈」の形にへこむ
この草の正式な名前は、じつはヤハズエンドウ(矢筈豌豆)というんだ。
矢筈というのは、弓矢の矢のおしりにある、弦をひっかけるためのV字のくぼみのこと。
葉をよく見てみて。細長い小さな葉がずらりと向かい合ってならんでいるけれど、その1枚1枚の先が、とがらずにV字にへこんでいるのが分かるかな。これが矢筈にそっくりだから、この名前がついたんだよ。
塗り絵でも、小さな葉すべての先にV字を描いてあるから、確かめてみてね。
葉の先はくるくる巻いて、ひっかかる
羽のようにならんだ葉の、いちばん先を見てみよう。そこには葉ではなく、細い巻きひげがついているんだ。
この巻きひげが、まわりの草や枝にふれるとくるくると巻きついて、体を支えるんだよ。自分では立てないぶん、他の草にのぼらせてもらう作戦なんだ。
巻きひげは3つに分かれるものもあるよ。塗り絵では、きつく巻いたもの、ゆるく1回だけのもの、二又のものと、いろいろな巻き方が描いてあるんだ。
名前の「カラス」は、さやの色から
ではなぜ「カラス」なんだろう。答えはさやの色だよ。
豆のさやは、はじめは緑色。でも熟すとカラスのようにまっ黒になるんだ。そこからカラスノエンドウとよばれるようになったと言われているよ。
おもしろいのは、なかまの名前だよ。もっと小さなスズメノエンドウという草があって、こちらは「カラスより小さいからスズメ」。
さらに、そのちょうど中間の大きさのカスマグサという草もあるんだ。「カ」ラスと「ス」ズメの「間」でカスマ。名前のつけ方がとても遊び心にあふれているよね。
さやが笛になる「ピーピー豆」
カラスノエンドウにはピーピー豆という別名があるよ。さやが笛になるからなんだ。
作り方はこうだよ。よく熟した黒いさやをとって、背中側を切り開き、中の豆をぜんぶ出す。そして先っぽを口にくわえて吹くと、ピーッと音が鳴るんだ。
うまく鳴らすコツは、豆をきれいに取りきることと、さやをつぶさないこと。地方によってはシービービーとも呼ばれていて、むかしから子どもたちに親しまれてきた遊びなんだよ。
アリを用心棒にやとっている
最後にすごい話をひとつ。花のつけ根をよく見ると、黒い小さな点があるんだ。これは花外蜜腺といって、花ではないのに蜜を出すところなんだよ。
なぜそんなものがあるのか。アリを呼ぶためなんだ。
蜜をもらいに来たアリは、そのついでに、葉を食べにきた虫を追いはらってくれる。つまりカラスノエンドウは、蜜を給料にしてアリを用心棒にやとっているということなんだ。
春にこの草を見ると、たいていアリが歩いているよ。あれはただの通りすがりではなくて、ちゃんと仕事に来ているんだよ。
カラスノエンドウ(ヤハズエンドウ)の色を塗るコツ
小さな葉のV字を、つぶさないように
この塗り絵の見どころは、小さな葉の先のV字。名前のもとになった矢筈の形だね。
葉が細かくてたくさんあるから、つい大ざっぱに塗りたくなるけれど、1枚ずつ、先のV字にそって塗っていこう。ここがつぶれると、ただの細長い葉になってしまうんだ。
色は明るい黄みどり。カラスノエンドウの葉は、やわらかくて明るい緑をしているよ。
巻きひげは、線を残して細く
くるくる巻いた巻きひげは、この絵のいちばん楽しいところ。ここはぬらずに白いまま残すか、ごくうすい緑にとどめるのがおすすめだよ。
巻きひげは細いので、こく塗ると線がつぶれて、ただのぐるぐるになってしまうんだ。うすく残すと、宙に浮いているような軽さが出るよ。
花は赤むらさき。上下で濃さを変える
花は赤むらさき。ちょうちょのような形で、上に立つ大きな花びらと、下に突き出た舟のような花びらに分かれているね。
上の大きな花びらを濃く、下の舟の部分をうすく塗ると、立体的に見えるよ。花の根元にある緑の部分は、忘れずに緑にしてね。
さやは、緑と黒を混ぜて描こう
細長い豆のさやは、若いうちは緑、熟すとまっ黒になるんだ。
だから、1本は緑、もう1本は黒に塗り分けてみて。名前の由来になった「カラスのように黒いさや」が、絵の中で説明できるようになるよ。
黒く塗るときは、まっ黒よりもこい紫や焦げ茶を混ぜると、つやのある感じが出るんだ。
塗ったら、笛を作りに行こう
塗り終わったら、この絵を持って外へ。3月から6月、土手や空き地をさがしてみてね。
見つけたら、まず葉の先のV字を確かめよう。それがあればカラスノエンドウだよ。
そして黒く熟したさやを見つけたら、背中を切り開いて豆を出し、笛を作ってみて。ピーッと鳴ったら大成功。花のつけ根の黒い点と、そこに来ているアリもさがしてみてね。
カラスノエンドウ(ヤハズエンドウ)の豆知識
カラス・スズメ・カスマ
カラスノエンドウには、よく似たなかまがいて、名前のつけ方がとてもおもしろいんだ。
いちばん大きいのがカラスノエンドウ。さやが熟すとカラスのように黒くなるから、この名前だよ。
ずっと小さいのがスズメノエンドウ。カラスより小さいから、スズメなんだ。
そして、ちょうどその中間の大きさのものにはカスマグサという名前がついているんだ。「カ」ラスと「ス」ズメの「間」で、カスマ。
むかしの人が、大きさの順に鳥の名前をあてはめて、あまった中間を「間」と呼んだ——名前だけで3種類の関係が分かってしまう、よくできた名前なんだ。
正式な名前は「ヤハズエンドウ」
じつはカラスノエンドウは通称で、植物としての正式な和名はヤハズエンドウ(矢筈豌豆)なんだ。
矢筈は、弓矢の矢のおしりにある、弦をかけるためのV字のくぼみのこと。小さな葉の先が、ちょうどその形にへこんでいるんだよ。
見た目(さやの色)から名づけた通称と、葉の形から名づけた正式名。同じ草を、見る場所を変えて2通りに名づけているのがおもしろいね。
アリを用心棒にやとう草
花のつけ根にある黒い小さな点は、花外蜜腺という器官だよ。花ではないのに蜜を出すという、変わったつくりなんだ。
ここに集まってきたアリは、蜜をもらう代わりに、葉を食べる虫を追いはらってくれる。植物にとってはアリが用心棒、アリにとってはタダで蜜がもらえる。おたがいに得をする関係なんだ。
春の野原でカラスノエンドウを見つけたら、アリが歩いていないかさがしてみて。たいてい何匹かいるよ。
若い芽とさやは食べられる
カラスノエンドウは、じつは食べられる草なんだ。エンドウ豆と同じ科だから、当然といえば当然だね。
食べるのは、春先の若い芽先ややわらかい若い葉、まだ緑の若いさや。おひたしや天ぷら、まめごはんにして食べられてきたよ。
ただし、道ばたの草には車の排気や消毒がかかっていることがあるんだ。食べるときは必ずおとなの人といっしょに、きれいな場所のものを選んでね。
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カラスノエンドウ
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からみ合うカラスノエンドウ
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