入院中・体調不良の子に|静かに過ごせる遊びとしてのぬりえ

入院中・体調不良の子に|静かに過ごせる遊びとしてのぬりえ

熱を出して家で寝ている。入院して、ベッドから動けない。体はしんどいけれど、退屈でもある——子どもにとって、いちばん扱いにくい時間です。

動画を見せれば静かになりますが、目が疲れますし、いつまでも見続けてしまう。かといって、体を使う遊びはできない。

そんなときに塗り絵が向いているのは、寝たままでもできて、いつでもやめられるからです。この記事では、体調がすぐれないときの塗り絵の選び方と、渡し方をまとめます。

体調が悪いときの選び方

ふだんと同じ基準で選ばないでください。いつもより1〜2段階やさしいものにします。

  • 塗る面が少ないもの|3〜5か所で完結する図案
  • 線が太いもの|集中力が落ちているので、細部は負担になる
  • 好きなジャンル|難易度より「好きかどうか」を優先する
  • 1枚で終わるもの|シリーズものは義務感が出る

完成させなくていいと最初に伝えてください。3分でやめても構わない、という前提があるだけで、手に取りやすくなります。

難易度から選べる一覧は難易度別のぬりえ一覧にあります。「かんたん」から選んでください。

寝たままでもできる工夫

  • 下敷きを用意する|クリップボードや厚紙。膝の上でも書ける
  • クーピーか色鉛筆|寝た姿勢だと筆圧をかけにくい。やわらかい芯を
  • 色数を減らす|たくさん広げると散らかる。5〜6色を小さなケースに
  • 削らなくていいものを|寝ている場所で鉛筆削りは使いにくい

クーピーは特に向いています。折れにくく、消しゴムで消せて、手も汚れません。布団やシーツを汚す心配が減ります。

画材の違いはクレヨン・クレパス・クーピー・色鉛筆はどう違う?にまとめました。

入院しているとき

病室では、いくつか制約があります。

  • においのないものを|マーカー類は同室の方の迷惑になることがある
  • 音が出ないもの|塗り絵はこの点で優れています
  • 持ち込み前に確認|病棟によって決まりが違います
  • かさばらないもの|収納スペースは限られています

プリンターがない環境でも、コンビニで印刷できます。病院の近くのコンビニで数枚出せば、面会のときに渡せます。手順はコンビニでぬりえを印刷する方法をご覧ください。

「今日は何を塗る?」が会話になる

体調が悪いとき、子どもは自分から話しません。聞いても「べつに」で終わります。

何枚か広げて「どれがいい?」と聞くと、選ぶという行為が入ります。選んだ理由を話しはじめることもあります。会話のきっかけとして、これは意外に大きい。

塗り終わったら、ベッドサイドに貼る。毎日1枚ずつ増えていくと、それが回復の記録になります。「昨日より丁寧だね」という声かけもできます。

こんなときに向いています

場面選ぶもの
熱が下がったばかり面が少ない、線が太い1枚
入院が長引いている好きなジャンルを毎日1枚ずつ
検査の待ち時間10分で終わる小さめの図案
きょうだいの付き添い静かに過ごせる。音が出ない
感染症で外に出られない季節のぬりえで外の様子を感じる

最後の項目は、意外と効きます。外に出られない時期に、外の季節を塗る。春なら桜、夏なら虫。今どんな季節かを感じられます。

無理にやらせないこと

いちばん大事なことです。体調が悪いときは、何もしないのが正解の日もあります。

塗り絵は「渡しておくもの」であって、「やらせるもの」ではありません。枕元に置いておいて、気が向いたら手に取る。それで十分です。

途中でやめた1枚が、翌日また続くこともあります。急がないでください。

選びやすいぬりえ

すべて無料でダウンロード・印刷できます。ご家庭のほか、病院や施設でのご利用については塗り絵の著作権と利用範囲をご覧ください。

付き添う側の負担を減らす

入院や自宅療養が続くとき、疲れているのは付き添っている大人でもあります。ぬりえがいいのは、大人が何もしなくていい時間を作れる点です。

絵本の読み聞かせや、しりとりのような遊びは、大人が相手をし続ける必要があります。ぬりえは違います。隣に座っているだけで成立します。声を出さずに済むのも、病室では大きい。

準備も最小限で足ります。

  • 色鉛筆12色|缶より布ケース。落としたときに音が出ません
  • クリップボード|ベッドの上でも塗れます。下敷きの代わりになります
  • 印刷した紙を数枚|まとめて刷っておく。病院で刷るのは難しい

クレヨンやマーカーはにおいが出るので、多床室では避けたほうが無難です。色鉛筆はこの点でも向いています。

「できない日」があるのが前提

体調が悪い日は、塗り始めても数分で手が止まります。これは飽きたのではなく、体力の問題です。

そういう日のために、「見るだけ」の使い方も用意しておいてください。塗らずに、どの絵柄にするかを一緒に選ぶ。それだけで、その日の予定がひとつできます。

選ぶ行為には、意外な意味があります。入院中は、自分で決められることがほとんどありません。食事も、検査の時間も、寝る時間も決まっている。そのなかで「どの紙を塗るか」「何色にするか」は、自分で決められる数少ないことです。

だから、大人が色を指示しないでください。「そこは緑じゃない?」と言いたくなっても、こらえる。自由に決められることが、この場面では中身より大事です。