せっかく気に入ったぬりえを印刷したのに、塗り始めてすぐ「あれ?」と思ったことはありませんか。色がのらない、消しゴムをかけたら毛羽立った、裏まで色がにじんだ——。
原因は塗る腕でも色鉛筆でもなく、紙であることがほとんどです。同じ色鉛筆でも、紙を変えるだけで発色はまったく違ってきます。
とはいえ、売り場に行けば「厚口」「上質紙」「マット紙」「画用紙」と種類が多く、どれを買えばいいのか分かりにくいのも事実です。この記事では、家庭のプリンターでぬりえを印刷する前提で、紙の選び方を整理します。
結論:迷ったら「厚口のインクジェット用紙」
細かい話の前に結論です。坪量90〜135g/㎡(「厚口」と書かれているもの)を選べば、ほぼ失敗しません。
普通のコピー用紙は64〜68g/㎡程度。薄いぶん反りやすく、色鉛筆を強く動かすと表面が削れてしまいます。厚口に変えるだけで、消しゴムにも耐え、裏写りもしにくくなります。
紙選び 3つの基準
1. 厚さ(坪量)|数字が大きいほど丈夫
紙の厚さは「g/㎡」または「kg」で表されます。用途ごとの目安はこちらです。
| 坪量 | 呼び方 | ぬりえでの使い心地 |
|---|---|---|
| 64〜68g/㎡ | 普通のコピー用紙 | 薄い。色鉛筆だと物足りない |
| 約90g/㎡ | 厚口 | 普段づかいにちょうどよい |
| 110〜135g/㎡ | 特厚口・最厚口 | 塗り重ねや水彩に耐える。飾るのにも向く |
| 150g/㎡以上 | 画用紙相当 | プリンターによっては給紙できないことがある |
厚ければよいわけではありません。家庭用プリンターには通せる紙の厚さに上限があります。買う前に取扱説明書の「使用できる用紙」を確認してください。多くの機種は概ね105〜128g/㎡程度までです。
2. 表面のざらつき|つるつるだと色がのらない
色鉛筆は、紙表面の細かい凹凸に芯の粉が引っかかることで色がつきます。表面がつるつるした紙では、粉が定着せず薄い色にしかなりません。
この観点で避けたいのが写真用紙と光沢紙です。印刷はきれいですが、色鉛筆はほとんどのりません。逆に「マット紙」「上質紙」と書かれたものは、適度なざらつきがあり相性がよいです。
3. 白色度|白すぎない紙のほうが目が疲れにくい
「高白色」とうたう紙は線がくっきり見える反面、明るい照明の下では光を強く反射します。長時間塗るなら、少しクリーム寄りの紙のほうが落ち着いて取り組めます。
もっとも、この差は好みの範囲です。まずは厚さと表面を優先してください。
画材ごとの相性
| 画材 | 向いている紙 | 注意点 |
|---|---|---|
| 色鉛筆 | 厚口のマット紙・上質紙 | 光沢紙は避ける |
| 水彩色鉛筆 | 水彩紙、または135g/㎡以上 | 薄い紙は水でよれる |
| クレヨン・クレパス | 厚口以上 | 力が強いので薄紙は破れやすい |
| 水性ペン・マーカー | 厚口以上 | 裏写りしやすい。下に紙を敷く |
水彩色鉛筆を使うなら、専用の水彩紙が一段違います。水を含ませても波打たず、にじみもきれいに広がります。A4サイズなら家庭のプリンターにも通せるものがあります。
印刷するときの設定
紙を変えたら、プリンター側の設定も合わせてください。ここを見落とすと、せっかくの厚口紙が活きません。
- 用紙種類を「普通紙」から「厚紙」「マット紙」に変更する
- 給紙は手差しトレイから。厚い紙はカセットだと詰まりやすい
- 1枚ずつセットする。まとめて入れると重送しやすい
- 線が薄いと感じたら印刷品質を「きれい」に上げる
ぬりえ図鑑のPDFは、A4サイズで作成しています。印刷ダイアログで「実際のサイズ」または「100%」を選ぶと、想定どおりの大きさで出力できます。「用紙に合わせる」にすると、わずかに縮小されることがあります。
塗り終えたあと|飾る・残す
厚口の紙で塗った作品は、それだけで見栄えがします。冷蔵庫に貼るのもよいのですが、額に入れると子どもの反応が変わります。「自分の作品が飾られている」という経験は、次の一枚への意欲になります。

くり返し使いたい図案や、小さい子が何度も塗りたがるものは、ラミネート加工という手もあります。水性ペンで塗って拭き取れば、同じ一枚を何度でも楽しめます。
まずは1枚、紙を変えて試してみる
説明を読むより、同じ絵を2種類の紙に印刷して塗り比べるのがいちばん早いです。違いは1分で分かります。
- 塗り面積が広くて違いが出やすい:春の花のぬりえ
- 細かい線で紙質が効く:カブトムシ・クワガタのぬりえ
- まずは人気の一枚から:人気の塗り絵ランキング
- 難易度から選ぶ:難易度別のぬりえ一覧
迷ったら、まずこの3種類で試す
基準を読んでも、実際に手に取るまでは分かりません。同じ絵柄を3枚、違う紙に刷って塗り比べるのがいちばん確実です。
| 紙 | 入手先 | 塗った感じ |
|---|---|---|
| コピー用紙(64g前後) | 家にあるもの | 基準。色が乗りにくく、消しゴムで毛羽立つ |
| 厚口インクジェット用紙(90〜110g) | 家電量販店、100円ショップ | いちばん扱いやすい |
| 画用紙(150g前後) | 文具店 | 色がよく乗る。プリンターによっては通りません |
3枚並べると、紙で仕上がりが変わることが一目で分かります。画材を買い替えるより先に、これを試してみてください。数十円で結果が変わるという点で、費用対効果はいちばん高い。
注意点として、厚い紙が家庭用プリンターを通るとは限りません。多くの機種は坪量157g程度まで。取扱説明書に上限が書いてあります。詰まると故障の原因になるので、無理はしないでください。
裏写りを止める
紙の話でいちばん相談が多いのが裏写りです。とくにマーカーを使う場合。
原因は紙の薄さだけではありません。インクの量も関係します。同じ場所を何度もなぞると、どんな紙でも抜けます。
- いちばん確実なのは紙を厚くする|マーカー用紙という専用品もあります
- 下に1枚重ねる|写っても机は汚れません。いらない紙で十分
- 同じ場所をなぞらない|一方向に、1回で。往復させると抜けます
- 両面印刷しない|裏に別の絵柄があると、写ったときに台無しになります
色鉛筆なら裏写りはまず起きません。紙にこだわる必要が出てくるのは、水やインクを使い始めてからです。色鉛筆しか使わないなら、厚口のコピー用紙で十分間に合います。