ハグロトンボの塗り絵
ハグロトンボの特徴
初夏から秋の小川を舞う黒いドレスの貴婦人
ハグロトンボは、初夏の5月下旬ごろから秋の10月頃にかけて、綺麗な水が流れる小川や用水路の近くで姿を見せるカワトンボの仲間だよ。一般的なトンボのように大空を一直線にハイスピードで飛ぶのではなく、黒いドレスをまとった貴婦人のように、黒い翅をパタパタと羽ばたかせて優雅にひらひらと舞うのが最大の特徴なんだ。その幻想的で可憐な美しさは、昔から多くの人々の心を惹きつけてやまない水辺のアイドルなんだよ。
名前の由来とお歯黒の文化
ハグロトンボという和名には、日本人の歴史と文化に深く結びついた二つの由来があると言われているんだよ。ひとつは文字通り「翅が真っ黒なトンボ」という意味で羽黒トンボと名付けられたというシンプルな説なんだ。そしてもうひとつは、昔の日本の成人女性やお公家さんが嗜んでいたお歯黒という、歯を漆黒に塗る化粧文化だよ。ハグロトンボの翅の深く艶やかな黒色が、このお歯黒の黒さにそっくりだったことから名前がついたとも伝えられているんだね。
英語名Ebony jewelwingと黒い宝石の翼
英語圏では、ハグロトンボやその近縁種の仲間はEbony jewelwing(エボニー・ジュエルウィング)という、とってもロマンチックな名前で呼ばれているんだよ。エボニーとは家具や楽器に使われる漆黒の高級木材「黒檀」や「深みのある漆黒」を意味していて、ジュエルウィングは「宝石の翼」という意味なんだ。太陽の光を浴びたときに、オスのエメラルドグリーンの体と漆黒の翅がまるで黒いベルベットに飾られた宝石のように輝くことから、この素晴らしい名前がついたんだよ。そのほかにもBlack-winged damselflyや、フランス語由来のAtra Demoiselle(黒い貴婦人)という優雅な別名でも知られているんだ。
神様トンボや仏トンボと呼ばれる信仰と文化
地域によっては、ハグロトンボは神様トンボや仏トンボという神聖な名前で呼ばれて大切にされているんだよ。これには季節と動作の二つの不思議な理由があるんだ。ハグロトンボが成虫になって街や森の水辺にたくさん姿を現す時期が、ちょうどご先祖様を迎える7月から8月のお盆の時期と重なるんだよ。さらに、水草や葉っぱにとまるときに黒い翅をゆっくりと開いて閉じる姿が、まるで人間が手を合わせてご先祖様にお祈りを捧げているように見えることから、ご先祖様の魂を乗せてやってくるありがたい使いとして昔から温かく見守られてきたんだね。
チョウのようにひらひら舞う優雅な飛翔スタイル
シオカラトンボやオニヤンマなどの大きなトンボは、四枚の翅を素早く震わせて「ビューン!」と弾丸のように直線的に飛ぶよね。でもハグロトンボは、まるでアゲハチョウのように、四枚の翅を一枚ずつゆったりと上下にしならせながら「ひらひら」「ひらりひらり」と優雅に舞うんだ。風に乗るように水面や草むらの上を静かに漂う泳ぎのような飛翔スタイルは、トンボの仲間の中でもハグロトンボならではの魅力なんだよ。
背中でピタリと翅をたたむカワトンボ科の不思議な姿
普通のトンボが羽休めをするときは、翅を左右にピンと水平に広げたままとまるけれど、ハグロトンボは全く違うとまり方をするんだよ。葉っぱや枝にとまると、四枚の黒い翅を背中の上でピタリと垂直に折りたたんで静止するんだ。これはハグロトンボがカワトンボやイトトンボと同じ「均翅類(きんしろい)」というグループに属しているからで、体も爪楊枝のように細くしなやかで、可憐なシルエットを作り出しているんだね。
エメラルドグリーンとシックな黒!オスとメスの見分け方
ハグロトンボのオス(男の子)とメス(女の子)を見分けるのは、お腹(胴体)の色をチェックするだけでとっても簡単なんだよ。オスの体は、光の当たり方によってキラキラと輝く美しい金属光沢のエメラルドグリーン(金緑色)をしているんだ。一方でメスの体は、輝く光沢を持たず、全体がシックで落ち着いた黒褐色(焦げ茶色)で覆われているよ。どちらも四枚の翅は真っ黒だけど、透かしてみるとメスの翅のほうが少し茶色みがかって見えるのも面白いポイントなんだ。
木漏れ日が差し込む綺麗な小川!大好きな生息環境
ハグロトンボは、どこにでもいるわけではなく、環境が豊かで水が綺麗な場所を選んで暮らしているんだよ。水草がたっぷり生えていて、水の流れが優しくゆるやかな小川や用水路が彼らの大好きなホームグラウンドなんだ。直射日光がカンカンに当たる開けた場所よりも、周りに木々が立ち並び、木漏れ日が優しく水面に差し込むような少し薄暗い静かな場所を好むよ。だからハグロトンボが飛んでいる小川は、自然環境が美しく保たれているという素敵な証拠(環境指標昆虫)なんだね。
水中で暮らすしなやかなヤゴと成長のひみつ
ハグロトンボのお母さんは、水面近くに生えている水草の茎やお葉っぱの中に、お尻を差し込んで卵を産み付けるんだ。卵から生まれた赤ちゃんの幼虫はヤゴと呼ばれ、水の中で成長していくよ。ハグロトンボのヤゴは、一般的なトンボのヤゴと違って手足や体が非常に細長く、お尻の先に三本の葉っぱのようなエラ(尾ギル)を持っているんだ。水草にしがみついて上手に隠れながら、半年から一年ほどかけて水中で大きくなり、初夏になると夜の間に水草を登って立派な成虫へと脱皮(羽化)するんだよ。
空中のハンター!蚊や小さな虫を捕まえる頼もしい役割
ひらひらと優雅に舞う見た目をしているけれど、成虫になったハグロトンボは立派な肉食のハンターなんだよ。優れた視力を持つ大きな複眼で周囲を見渡し、飛んでいるハエや蚊、小さなガなどの小昆虫を空中で素早く捕まえるんだ。足には小さなトゲがたくさんついていて、飛びながら虫を網のように捕獲することができるよ。人間の血を吸う嫌な蚊をたくさん食べてくれるから、実は人間にとっても自然のバランスを守ってくれるとっても頼もしいヒーローなんだね。
ハグロトンボの色を塗るコツ
色の選び方:オスの輝くメタリックグリーンとメスの黒褐色
ぬりえのハグロトンボを本物そっくりで魅力的に仕上げるために、まずはオスとメスのどちらにするかイメージを決めて色を選んでみよう。男の子のオスに仕上げたいなら、細長いお腹の部分に鮮やかなエメラルドグリーンや黄緑色、メタリックグリーンを使ってみてね。光が当たっている背中のラインにほんのり黄色や金色を重ねて塗ることで、金属のように輝く神秘的な体が再現できるよ。女の子のメスにしたいなら、お腹全体を落ち着いた焦げ茶色やダークブラウン、黒色で塗って、大人っぽくシックな雰囲気にまとめてみよう。頭についている丸く大きな複眼は、漆黒や濃いブラウンで塗って、光の反射として白い点を残しておくと生き生きした目元になるよ。
漆黒の翅(Ebony)を透け感たっぷりに塗るグラデーション技法
ハグロトンボの一番の見せ所である大きな四枚の黒い翅は、一色で塗りつぶしてしまうのではなく、光が透ける美しい質感を意識して塗るのが成功のコツだよ。絵に細かく描かれている翅脈(網目の筋)を活かすために、色鉛筆の芯を尖らせて黒色や濃い焦げ茶色で一本ずつの線を丁寧になぞっていこう。網目の内側はベタベタと濃く塗らずに、深みのある暗い紫色や濃い紺色をうっすらと重ねてグラデーションを作ってみてね。翅の端っこやフチに向かってごく薄いグレーや水色を乗せて白い部分を少し透けさせて残しておくと、まるで漆黒のガラスのように光を透かすEbony jewelwingの繊細で高貴な羽が完成するよ。
ほそく美しい胴体と繊細な脚を1本ずつ丁寧に描くコツ
ハグロトンボの体は竹のように節があり、線がとっても細くて繊細なんだ。この細いラインを塗りつぶさずに美しく際立たせるために、使う色鉛筆の芯をいつもより鋭く削って尖らせておこう。六本の細い脚は、線の方向に沿って黒色や濃いブラウンで一本ずつスッと一本の筋を引くように塗っていくのがコツだよ。脚についている小さなトゲの線も丁寧になぞってあげると、昆虫図鑑のような精密でリアルなカッコよさが出るんだ。ほそ長いお腹の節々のくびれ部分に少し濃い影(黒やダークグリーン)を入れてあげると、細い胴体がポコッと丸く立体的に見えるようになるよ。
葉っぱにとまるポーズと「ひかり・かげ」で作る立体感
ハグロトンボが葉っぱにとまっているポーズのぬりえなら、体全体に差し込むお日様の光と影を意識して塗ってみよう。頭の丸い部分や背中の盛り上がっているライン、足が折り曲がっている関節の表面には、明るい黄緑色や薄いクリーム色をふんわり乗せてハイライト(光)を作ってみてね。反対に、背中で重なり合っている四枚の翅の隙間や、葉っぱと接している足元の影、胸の下側のくぼみには、濃い焦げ茶色や黒色でしっかりと影を入れてあげよう。光と影の差をくっきりつけることで、平面的だった線画から一気にハグロトンボが浮かび上がってくるよ。
清らかな小川と木漏れ日の背景を描き加えて水辺の世界を完成させよう
ハグロトンボが塗り上がったら、周りの空いている背景にも彼らが生きる綺麗な水辺の風景を描き広げてみよう。ハグロトンボがとまっている水草や竹の葉っぱは、鮮やかな緑色や黄緑色で塗り、葉脈のラインを濃い深緑色で引き締めてみてね。足元に流れる清らかな小川の水面には、スカイブルー(水色)や淡いエメラルドグリーンを使って優しくグラデーションを塗り広げてみよう。木々から降り注ぐ太陽の木漏れ日を明るい黄色で筋のように描き足したり、水面にポコポコと浮かぶ水の泡を白く残したりすることで、静かな小川の爽やかな風と澄んだ水音が聞こえてくるような、世界にひとつだけの感動的なぬりえ作品が完成するよ!自由なアイデアで思い切りぬりえを楽しんでね!
ハグロトンボの豆知識
真っ黒な羽とチョウのような優雅な飛び方
ハグロトンボは、名前の通り真っ黒な4枚の羽を持っています。一般的なトンボのように素早く直線的に飛ぶのではなく、まるでチョウのようにひらひらと優雅に舞うように飛ぶのが大きな特徴です。
オスとメスで胴体の色がちがう!
ハグロトンボは、オスとメスで体色に綺麗な違いがあります。オスの胴体は金属のようにキラキラ光る金緑色(エメラルドグリーン)をしており、メスの胴体は落ち着いた黒褐色(黒っぽい茶色)をしています。
「神様トンボ」と呼ばれる神秘的な姿
枝などに止まったとき、羽をゆっくり開いてさっと閉じる動作を繰り返します。この姿が手を合わせて神様にお祈りをしている(合掌している)ように見えることから、「神様トンボ」や「合掌トンボ」というありがたい別名で呼ばれています。
お盆の時期にやってくる縁起の良い虫
ハグロトンボはお盆の時期(7月〜8月頃)に多く姿を見せます。昔から「ご先祖様の魂を乗せて帰ってくるトンボ」と考えられており、出会うと幸運が訪れる縁起の良い生き物として大切にされてきました。
きれいな水辺と涼しい木陰が大好き
ハグロトンボの赤ちゃん(ヤゴ)は、水質がきれいで流れがゆるやかな川や水路で育ちます。大人になったハグロトンボも、直射日光が当たる場所より水辺の薄暗い木陰を好んで集まり、静かに暮らしています。
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