ケーキを塗るとき、スポンジは何色でしょうか。黄色? 茶色? よく見ると、外側は焼き色で茶色、中は薄いクリーム色です。この差に気づけるかどうかで、おいしそうに見えるかが決まります。
食べ物の塗り絵は、身近なぶん「知っているつもり」で塗ってしまいがちな題材です。だからこそ、一度じっくり見る価値があります。
今回は、食べ物のぬりえとあわせて読みたい絵本・図鑑を5冊紹介します。食育の本としても使えるものを選びました。
1. おかしを描くなら「おかしのずかん」
白泉社「コドモエのずかん」シリーズ。大森裕子さんによる28ページの絵本で、2021年3月刊行です。
塗り絵におすすめのポイント
このシリーズはすべてイラストで描かれています。写真ではないぶん、形が整理されていて、色の境目がはっきりしています。
塗り絵の参考としては、これがむしろ好都合です。写真は情報が多すぎて、どこまで塗り分ければいいのか分からなくなることがあります。イラストなら「ここまで塗ればおいしそうに見える」という到達点が見えます。
2. 主食の色を知る「ごはんのずかん」
同じ大森裕子さんの作で、監修は「ごはん同盟」。白泉社のコドモエのえほん、24ページ、990円です。おにぎりから世界のお米料理までを扱っています。
塗り絵におすすめのポイント
白いごはんをどう塗るか。これは食べ物の塗り絵で最初にぶつかる壁です。答えは「ほとんど塗らない」。影の部分にだけ薄いグレーやベージュを入れると、白いまま立体になります。
チャーハン、パエリア、ビリヤニ。世界のお米料理まで載っていると、「同じお米なのにこんなに色が違う」という発見があります。
3. 果物の色は奥が深い「くだもののずかん」
大森裕子さんの作、監修は三輪正幸さん。同じコドモエのシリーズです。
塗り絵におすすめのポイント
りんごを赤一色で塗ると、なぜかおいしそうに見えません。実際のりんごは赤の中に黄色や緑が混ざり、縦のすじ模様が入っています。
ぬりえ図鑑の果物のぬりえは15種あります。図鑑を見ながら「本物はどんな色か」を確かめて塗ると、同じ絵が別物になります。
4. 焼き色を学ぶ「パンのずかん」
こちらも大森裕子さんによるコドモエのずかん。パンの種類を集めた1冊です。
塗り絵におすすめのポイント
パンは焼き色のグラデーションがすべてです。上面はこんがり濃い茶色、側面は薄く、底はほとんど白。この段階を3色の茶色で塗り分けると、一気にパンらしくなります。
焼き色は、パンだけでなくクッキー、ホットケーキ、グラタンにも応用できます。食べ物を塗るうえでいちばん汎用性の高い技術です。グラデーションの基本テクニックとあわせて練習してみてください。
5. 華やかに塗りたいなら「ゆめみる おひめさまのおかし図鑑」
主婦の友社から2024年12月に出た48ページの本。たけいみきさんの絵、山本ゆりさんの監修です。
塗り絵におすすめのポイント
ここまでの4冊が「本物に近づける」ための本なら、この本は「かわいく仕上げる」ための本です。
食べ物の塗り絵は、必ずしも実物どおりでなくてかまいません。パステルカラーのケーキ、水色のクリーム。現実にない色で塗るのも立派な表現です。そういう方向に進みたい子には、この本のほうが刺さります。
食べ物をおいしそうに塗るコツ
- 白いものは塗らない|ごはん、クリーム、砂糖。影だけ入れる
- 焼き色は3段階|濃い・中間・薄いの3色で塗り分ける
- つやを残す|果物やゼリーは、いちばん明るい部分を白く残す
- 影に青を使わない|食べ物の影は茶色やオレンジ系のほうがおいしそう
4番目は意外に効きます。青い影は「冷たい」印象を与えるため、食べ物には向きません。
図鑑と一緒に塗ってみる
- ケーキ|デザートでいちばん人気
- パフェ|つやと層の塗り分けに
- デザート・お菓子のぬりえ|全13種
- 果物のぬりえ|全15種
- 野菜のぬりえ|全14種
焼き色は、3色でつくる
食べ物の塗り絵でいちばん差が出るのが焼き色です。パン、クッキー、ホットケーキ、目玉焼きのふち。ここが茶色1色だと、とたんにおいしそうに見えなくなります。
- 1層目|うすい黄色|全体に。生地そのものの色です
- 2層目|オレンジ|中心から外へ。焼けている部分だけ
- 3層目|こげ茶|いちばん出っぱったところに少し。全体の1割で十分
この順番には理由があります。焼き色は、外側ほど、出っぱっているほど濃くなる。熱が当たる場所が決まっているからです。ホットケーキの中央が濃く、ふちが薄いのはそのため。パンなら上面と角が濃く、底は薄い。
焼き色の濃い場所は、実物を見れば分かります。塗る前に一度、目の前の食パンを見てください。それだけで塗り方が決まります。
つやを出すのは「塗らない」こと
もうひとつ、おいしそうに見せる要素がつやです。ゼリー、いちご、プリン、ソースのかかったもの。
やることは1つだけで、いちばん光っているところを白いまま残すことです。いちごなら丸みの上側に小さく1〜2か所。プリンならカラメルの表面に細長く1本。
気をつけたいのは、残す場所を小さくすることです。大きく残すと「塗り忘れ」に見えます。目安は、その面の1割以下。小さいほど強く光って見えます。
逆に、つやのない食べ物にハイライトを入れてはいけません。パン、クッキー、ごはん、粉糖のかかったもの。ここに白い点を入れると濡れて見えます。つやがあるものとないものを分ける——食べ物の塗り絵は、この判断がすべてです。