花のぬりえを、花びら1枚ずつ同じ色でべた塗りしていませんか。それでも間違いではないのですが、本物の花はそう見えていません。
花びらは薄くて光を通します。だから根元は濃く、先へいくほど薄い。同じ1枚の中に濃淡があります。この変化をつけられるかどうかで、花のぬりえは決定的に変わります。
この記事では、色鉛筆1本で花びらに濃淡をつける方法を紹介します。特別な道具も、たくさんの色も要りません。
基本は「根元が濃い」
多くの花は、中心(根元)に近いほど色が濃く、外側(先端)にいくほど薄くなります。花びらが薄く、光が透けるためです。
塗るときは、この順番で手を動かします。
- 花びら全体を、いちばん薄い力で塗る
- 根元側だけ、もう一度重ねる
- 中心のいちばん奥だけ、さらに重ねる
色鉛筆は1本のままです。力の入れ方を3段階に分けるだけで、濃淡ができます。色を増やす必要はありません。
手の動かし方
ここが実は一番大事です。花びらの形にそって塗ること。ぐるぐる塗ったり、横方向に往復したりすると、花びらの丸みが消えます。
根元から先端へ、短い線を何本も引くイメージで動かしてください。線の向きがそろっているだけで、花びららしく見えます。
子どもには「花びらをなでるように」と伝えると伝わりやすいです。
濃くしたいときは「重ねる」
濃い色を出そうとして、強く押しつけていませんか。それをやると、紙の表面がつぶれてそれ以上色がのらなくなります。
正解は、弱い力で何度も重ねること。3回重ねた色と、1回強く塗った色では、深みがまったく違います。時間はかかりますが、この差は誰の目にも分かります。
基本のやり方はグラデーションをきれいに作る5つの基本テクニックにまとめています。
花の色別のコツ
| 色 | 使う色鉛筆 | ポイント |
|---|---|---|
| 桜のピンク | 赤 | ごく薄く。力を入れると別の花になる |
| ひまわりの黄 | 黄+黄土色 | 根元に黄土色を少し。中心は茶色 |
| 白い花 | 塗らない+水色 | 影にだけ薄い水色。紙の白を活かす |
| 紫の花 | 青+赤 | 青を塗ってから赤を重ねると深い紫に |
| コスモス | 赤+ピンク | 花びらの筋にそって濃い線を数本 |
白い花がいちばん難しい題材です。白い色鉛筆で塗っても白くはなりません。塗らずに残し、影の部分にだけ薄い水色やグレーを置く。それで白く見えます。
葉と茎も手を抜かない
花びらに時間をかけたのに、葉を緑一色で塗ってしまう。よくある失敗です。
- 春の葉|みどりに黄色を重ねる。黄緑っぽくなる
- 夏の葉|みどりに青を重ねる。深い緑になる
- 葉脈|中央の線のまわりだけ濃くする
- 茎|片側だけ濃くすると、丸い棒に見える
春と夏で緑を変えるという考え方を知っておくと、季節感が出せるようになります。
練習に向いている花
花びらが大きく、枚数が少ないものから始めるのがおすすめです。小さい花がたくさん集まった図案は、濃淡をつける面積が足りません。
- 春の花のぬりえ|チューリップ・桜など全20種
- 夏の花のぬりえ|ひまわりは練習に最適
- 秋の花のぬりえ|コスモス・キンモクセイ
- 冬の花のぬりえ|椿・シクラメン
- 塗り絵の参考になる花の図鑑5選|本物の色を確かめる
花のぬりえは四季それぞれにあり、合わせると50種以上。1年を通して練習できる題材です。
「根元が濃い」が当てはまらない花
基本は根元が濃い。ただし例外があります。知らずに当てはめると不自然になる花があります。
- コスモス|根元が黄色く、色が変わります。同じ赤で濃くすると別の花になります
- 朝顔|中心が白く抜けます。根元こそ塗り残す花です
- チューリップ|先端が濃い品種が多い。上下が逆になります
- ユリ|筋と斑点が主役。全体の濃淡はむしろ弱めに
なぜ根元が濃いのが基本かというと、花びらの重なりで根元に影ができるからです。逆に言えば、影ではなく花そのものの色が変わっている場合は、この原則が効きません。
迷ったら写真を1枚見るのがいちばん早い。「影で濃いのか、色として濃いのか」を見分けるだけで、塗り方が決まります。
ムラになったときの直し方
花びらは面積が小さいぶん、ムラが目立ちます。原因別に対処が違います。
| ムラの見え方 | 原因 | 対処 |
|---|---|---|
| すじが見える | 一方向にしか塗っていない | 向きを変えてもう1層 |
| 点々が白い | 紙の凹凸に色が入っていない | 鉛筆を寝かせて弱い力で重ねる |
| まだらに濃い | 力の入れ方が一定でない | 薄い層を何度も。1回で決めない |
共通の対処は「弱い力で層を重ねる」です。強く塗って埋めようとすると、紙の表面がつぶれて後から色が乗らなくなります。ここまで来ると直せません。
どうしても直らないときは、その花を濃い色の花にしてしまうという手もあります。ムラは暗い色で覆えば見えなくなります。失敗を回収できるのが色鉛筆の利点です。