年末が近づくと、来年の干支が話題になります。「来年はなにどし?」と聞かれて答えられても、「なんでその順番なの?」と重ねて聞かれると、意外と説明できません。
十二支には、順番が決まった理由を語るお話があります。ネズミが牛の背中に乗ってずるをした、猫はだまされて仲間に入れなかった——。この物語を知っているかどうかで、干支のぬりえを塗る時間はまったく違うものになります。
今回は、塗り絵とあわせて読みたい十二支の絵本を5冊紹介します。物語で入るもの、行事として学ぶもの、描き方まで教えてくれるもの。それぞれ役割が違います。
1. 物語として楽しむ「十二支のおはなし」
岩崎書店「えほんのマーチ」シリーズの1冊。文は内田麟太郎さん、絵は山本孝さん。32ページの絵本です。
塗り絵におすすめのポイント
十二支の由来を、まず物語として知るための1冊です。動物たちが競争する場面を読んでから塗ると、ネズミにも牛にも「その子なりの事情」が見えてきます。
塗る前に読み聞かせて、「どの動物がいちばん好き?」と聞いてみてください。選んだ1匹から塗りはじめると、集中が続きます。
2. はじめての1冊に「十二支のはじまり(はじめての世界名作えほん)」
ポプラ社の「はじめての世界名作えほん」シリーズ17巻。文は中脇初枝さん、絵は椛島義夫さん。26ページで660円と、絵本としてはかなり手ごろです。
塗り絵におすすめのポイント
26ページという短さは、集中が長く続かない年齢にちょうどよい分量です。塗り絵を始める直前に1冊読みきれる、という手軽さがあります。
価格も手ごろなので、干支のぬりえを始める入り口として置いておきやすい1冊です。
3. 行事とつなげる「じゅうにしどこいくの?」
ほるぷ出版「はじめての行事えほん」シリーズの十二支の巻。文はすとうあさえさん、絵はおくはらゆめさん。2021年11月刊行、24ページです。
塗り絵におすすめのポイント
このシリーズは、十二支を年中行事のひとつとして位置づけています。お正月に干支の絵を飾る、年賀状に描く——そういう暮らしの中の使われ方とセットで学べます。
「塗った絵をどうするか」まで見通せるので、年賀状づくりと組み合わせるときに特に効きます。
4. 描き方まで載っている「十二支のおはなしと十二支がかけるほん」
JTBパブリッシングの「こども絵本」。あきやまかぜさぶろうさんによる40ページの本で、タイトルのとおりお話と「描き方」の両方が入っています。
塗り絵におすすめのポイント
5冊のなかで、塗り絵といちばん相性がよいのがこの本です。塗ることに慣れてくると、子どもは「自分でも描いてみたい」と言い出します。そのときに手渡せる1冊があると、次の段階へ自然に進めます。
ぬりえで形をなぞる → 描き方の本で構造を知る → 自分で描く。この順番は、無理がありません。
5. ことばも一緒に「十二支のことわざえほん」
教育画劇から出ている高畠純さんの絵本。十二支の動物が登場することわざを集めた1冊です。
塗り絵におすすめのポイント
「猿も木から落ちる」「馬の耳に念仏」。動物の姿と言葉が結びつくと、記憶に残り方が変わります。塗りながら「これ、ことわざにあったね」と話せると、ぬりえが国語の時間にもなります。
少し大きい子、小学生向けの1冊です。
干支のぬりえを塗るときのヒント
干支の動物は、実物どおりに塗らなくてよい題材です。年賀状や飾りに使う前提なら、赤・金・白といったおめでたい配色にすると一気に「お正月らしく」なります。
- 和柄を足す|体に市松模様や麻の葉模様を描き足すと和風になる
- 金色|黄土色を塗り、片側に茶色を重ねると金属っぽく見える
- 背景は塗らない|白いままのほうが、切り抜いて使いやすい
絵本と一緒に塗ってみる
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読む順番を決めておく
十二支の絵本は5冊とも同じ話を扱っていますが、役割が違います。順番を決めておくと、飽きずに1年もちます。
| 時期 | 読む本 | ねらい |
|---|---|---|
| 11月 | 十二支のはじまり | まず物語を知る。短くて聞きやすい |
| 12月 | 十二支のおはなし | 細部まで。なぜ猫がいないのかを話す |
| お正月 | じゅうにしどこいくの? | 行事とつなげる |
| 塗るとき | 十二支がかけるほん | 形の描き方が載っている |
ポイントは、塗る前に物語を1回通しておくことです。話を知ってから塗ると、単なる動物ではなく「1番になったねずみ」「だまされた猫」として塗ることになります。手が止まりにくくなります。
なぜ猫は入っていないのか
子どもがほぼ必ず聞くのが、「なんで猫がいないの?」です。答えを用意しておくと会話が伸びます。
物語では、ねずみが猫にうその日付を教えたため、猫は集まりに間に合わなかった——だから今もねずみを追いかける、と説明されます。因果がはっきりしていて、小さい子にも分かりやすい話です。
もう少し踏み込むと、十二支は中国から伝わったもので、成立した当時の中国に猫が広まっていなかったという説明もあります。実際、ベトナムの十二支にはウサギの代わりに猫がいます。タイでは龍がナーガという蛇の神になっている、といった違いもあります。
「国によって動物が違う」という話は、けっこう驚かれます。猫の年がある国もあると知ると、猫を1枚足して塗る子も出てきます。それも十分にいい遊び方です。