「今度のお休み、どこに行こう?」 子育て中のパパさん、ママさんなら、毎週末のように頭を悩ませるテーマかもしれませんね。公園やアスレチックもいいけれど、たまにはちょっと背伸びして、子どもの心に新しい色の種をまく「美術館めぐり」はいかがでしょうか?
豊かな自然に抱かれた長野県は、実は魅力的な美術館がたくさんある「アートの宝庫」なんです。澄んだ空気と美しい風景の中に佇む美術館は、日常の喧騒を忘れさせてくれる特別な空間。子どもにとっては、教科書やテレビで見るのとは違う「本物」のアートに触れる、絶好の機会になります。
「でも、子どもが美術館で騒いだらどうしよう…」「アートなんて、まだ早いかな?」なんて心配はご無用です!今回ご紹介するのは、子どもが走り回れる広いお庭があったり、絵本の世界に浸れたり、思わず「わーっ!」と声が出てしまうようなカラフルな作品に出会えたりと、親子で一緒に心から楽しめる美術館ばかり。
アートは、決して難しいものではありません。「この色、きれいだね」「この形、何に見える?」そんな親子の会話が、子どもの自由な発想力や豊かな感性をぐんぐん育んでくれます。まるで、真っ白なぬりえに、好きな色を好きなように塗っていくように。子どもたちの心というパレットに、彩り豊かな思い出を描く旅に出かけましょう。
この記事では、ぬりえ図鑑編集部が厳選した、長野県にある親子連れに本当におすすめしたい美術館を5つ、たっぷりの魅力と共にご紹介します。
目次
1. 絵本の世界に飛び込もう!安曇野ちひろ美術館(松川村)
子どもと行く美術館デビューに、これほど最適な場所はないかもしれません。北アルプスの雄大な景色を望む安曇野の地に佇む「安曇野ちひろ美術館」は、世界で初めての絵本美術館です。
この美術館の主役は、優しい色彩と愛らしい子どもの絵で、世代を超えて愛され続ける絵本画家・いわさきちひろ。館内に足を踏み入れると、どこかで目にしたことのある懐かしくて温かい作品たちが迎えてくれます。水彩絵の具がにじむ柔らかなタッチで描かれた子どもたちの表情は、驚くほど豊か。小さな子どもでも、絵から伝わる楽しさや寂しさを直感的に感じ取ることができるでしょう。
親子におすすめのポイント
この美術館の素晴らしいところは、静かに絵を見るだけではないところ。子どもたちのためのスペースが随所に用意されています。世界中の絵本が約3000冊も集められた「絵本の部屋」では、靴を脱いでリラックスしながら、親子で好きな絵本を広げることができます。木のぬくもりを感じるおもちゃで遊べるキッズスペースもあり、小さなお子さんがいても安心です。
そして、美術館の外には約5万4500平方メートルもの広大な安曇野ちひろ公園が広がっています。ここには、黒柳徹子さんのベストセラー『窓ぎわのトットちゃん』の世界を再現した「トットちゃん広場」があり、物語に登場する「電車の教室」が再現されています。中に入って、トットちゃん気分を味わうこともできますよ。思いっきり走り回れる芝生の広場で、アートに触れた後の体をめいっぱい動かすのも、最高の時間ですね。
館内のカフェでは、地元の食材を使った優しい味わいのランチやスイーツが楽しめます。窓から見える北アルプスの絶景を眺めながらの休憩は、パパさんママさんにとっても癒やしのひとときになるはずです。
いわさきちひろの絵は、まるで上質なぬりえのお手本のよう。その色彩の美しさや、描かれた子どもたちの生き生きとした姿は、お子さんの「描きたい!」という創作意欲をきっと刺激してくれるでしょう。
施設情報
- 住所: 〒399-8501 長野県北安曇郡松川村西原3358-24
- 公式サイト: https://chihiro.jp/azumino/
2. 水玉の世界にワクワク!松本市美術館(松本市)
松本市美術館の前に立つと、誰もがその強烈なインパクトに心を奪われるはずです。鮮やかな水玉模様に覆われた建物、そして巨大なチューリップのオブジェ『幻の華』。そう、ここは松本市出身の世界的前衛芸術家、草間彌生さんの作品が常設展示されていることで有名な美術館です。
「アートは難しい」という先入観は、ここに来れば一瞬で吹き飛んでしまいます。草間さんの作り出す水玉やかぼちゃ、網目模様の世界は、理屈抜きで楽しく、パワフル!子どもたちの目にも、そのカラフルで不思議な形は、とても刺激的に映るでしょう。自動販売機まで水玉模様になっているのを見つければ、きっと大喜びするはずです。
親子におすすめのポイント
常設展では、草間彌生さんの初期の作品から最新作まで、その圧倒的なエネルギーを体感できます。無限に広がる鏡の間や、かぼちゃのモチーフなど、まるで不思議の国に迷い込んだような感覚に。作品の前で「この水玉、大きいね!」「ぜんぶかぼちゃだ!」と、子どもならではの素直な感想が飛び交います。
美術館の中庭にも、カラフルな彫刻が点在しており、屋外でアートに親しむことができます。天気の良い日には、ここで少し休憩するのも気持ちがいいですよ。また、常設展だけでなく、ユニークな企画展も頻繁に開催されているので、訪れるたびに新しい発見があるのも魅力です。
ミュージアムショップには、草間彌生さんのかぼちゃや水玉をモチーフにした可愛いグッズがたくさん。ここでしか手に入らない文房具や小物は、アートな体験の素敵な記念になります。お子さんと一緒にお気に入りの一品を探してみてはいかがでしょうか。国宝・松本城からも徒歩圏内なので、松本観光と合わせてプランを組むのもおすすめです。
施設情報
- 住所: 〒390-0811 長野県松本市中央4-2-22
- 公式サイト: https://matsumoto-artmuse.jp/
3. 善光寺のとなりでアート散歩!長野県立美術館(長野市)
国宝・善光寺のお隣という、最高のロケーションに立つのが「長野県立美術館」です。2021年にリニューアルオープンしたばかりの館内は、ガラス張りでとても開放的。信州の豊かな自然と調和した美しい建築は、それ自体が一つのアート作品のようです。
この美術館では、長野県にゆかりのある作家の作品を中心に、日本画から現代アートまで幅広いジャンルの芸術に触れることができます。特に、信州の自然を愛し、その静謐な風景を描き続けた東山魁夷の作品は必見です。深く、吸い込まれそうな青色で描かれた森や湖は、大人はもちろん、子どもの心にも静かな感動を与えてくれるでしょう。
親子におすすめのポイント
長野県立美術館の一番のおすすめスポットは、なんといっても屋上に広がる無料開放のスペース「風テラス」。芝生が敷かれた気持ちの良い空間からは、善光寺の伽藍や長野の市街地、そして遠くの山々までを一望できます。アート鑑賞の合間にここで休憩したり、景色を眺めながらおしゃべりしたりする時間は、最高の思い出になるはずです。
館内には、アートに関する本を集めたライブラリーや、信州の食材を活かしたメニューが人気のレストラン、気軽に立ち寄れるカフェも併設されています。特にレストランは、大きな窓から光が差し込む明るい空間で、ベビーカーでも利用しやすいのが嬉しいポイントです。
善光寺の仲見世通りを散策した後に、ふらりと立ち寄ってアートに触れる。そんな贅沢な過ごし方ができるのが、この美術館の大きな魅力。定期的に子ども向けのワークショップやイベントも開催されているので、お出かけ前に公式サイトをチェックしてみてくださいね。
施設情報
- 住所: 〒380-0801 長野県長野市箱清水1-4-4
- 公式サイト: https://nagano.art.museum/
4. 標高2000mの天空ミュージアム!美ヶ原高原美術館(上田市)
日本で最も標高の高い場所にある、ユニークな野外彫刻美術館が「美ヶ原高原美術館」です。標高約2000mの高原に広がる約13万平方メートルの広大な敷地には、国内外の現代彫刻家の作品が約350点も常設展示されています。
ここは、静かに作品を鑑賞するというより、ハイキング気分でアートとめいっぱい触れ合う場所。青い空と緑の草原、そして遠くに連なる北アルプスや八ヶ岳のパノラマを背景に、ユニークな形の彫刻たちが点在しています。作品の中に入って遊べるものもあり、子どもたちは宝探しのように次の作品を見つけては駆け寄っていくでしょう。
親子におすすめのポイント
広大な屋外展示場は、まさに「天空の遊び場」。体を思いっきり動かしながらアートに触れられるので、じっとしているのが苦手な元気いっぱいのお子さんでも飽きることがありません。巨大な顔の彫刻や、カラフルなオブジェなど、一つひとつの作品が個性的で、子どもの自由なイマジネーションをかき立てます。「あれは動物に見える!」「こっちは秘密基地みたい!」なんて会話が弾むこと間違いなしです。
高原は天気が変わりやすく、夏でも涼しいことが多いので、一枚羽織るものがあると安心です。また、たくさん歩くので、親子ともに歩きやすい靴は必須。日差しも強いので、帽子や日焼け止めも忘れずに準備しましょう。
アートを巡る道のりは、ちょっとした冒険のよう。ゴール地点にある展望台からの眺めは格別で、頑張って歩いた達成感を親子で分かち合えます。自然とアートが融合したこの場所でしか味わえない、ダイナミックな感動体験が待っています。
※冬季(11月中旬~4月下旬頃)は閉館となります。お出かけの際は、必ず公式サイトで開館期間をご確認ください。
施設情報
- 住所: 〒386-0507 長野県上田市武石上本入美ヶ原高原
- 公式サイト: https://www.utsukushi-oam.jp/
5. ポップなアートに心躍る!軽井沢現代美術館(軽井沢町)
おしゃれなカフェやショップが立ち並ぶリゾート地・軽井沢で、ひと味違ったアート体験ができるのが「軽井沢現代美術館」です。この美術館は、国内外で活躍する日本の現代アーティストの作品を中心にコレクションしています。
館内に展示されているのは、草間彌生、奈良美智、村上隆といった、ポップでカラフル、そしてどこか親しみやすい作品ばかり。アニメやキャラクターのようなモチーフも多く、子どもたちにとっても「なんだか面白い!」「これ、かわいい!」と直感的に楽しめるアートに出会えます。
親子におすすめのポイント
この美術館の大きな特徴は、なんと多くの作品が写真撮影OKなこと!お気に入りのアート作品と一緒に記念撮影ができるのは、子どもにとっても嬉しい体験です。後から写真を見返しながら、「この絵、面白かったね」と家族で会話するのも楽しい時間ですね。
美術館はガラス張りの明るくモダンな建物で、作品がゆったりと展示されています。ベビーカーでも鑑賞しやすいフラットな空間なのも、パパさんママさんには安心ポイント。軽井沢の豊かな緑に囲まれたロケーションで、リラックスしながら最先端のアートに触れることができます。
現代アートは、見る人に「これは何だろう?」と問いかけてくれます。答えは一つではありません。親子で「これは〇〇に見えるね」「私は△△だと思うな」と自由に話し合ってみましょう。その対話こそが、子どもの思考力や表現力を豊かに育んでくれます。軽井沢観光のプランに、この刺激的で楽しい美術館を加えてみてはいかがでしょうか。
施設情報
- 住所: 〒389-0111 長野県北佐久郡軽井沢町長倉2052-2
- 公式サイト: https://www.moca-karuizawa.jp/
まとめ
長野県の親子で楽しめる美術館5選、いかがでしたでしょうか?
絵本の世界に浸れる安曇野ちひろ美術館、水玉のパワーに圧倒される松本市美術館、善光寺と共に楽しめる長野県立美術館、大自然とアートを体感する美ヶ原高原美術館、そしてポップな感性に出会える軽井沢現代美術館。
どの美術館も、子どもたちの心に素敵な思い出と、新しい「色」を加えてくれる、魅力あふれる場所ばかりです。
美術館に行くことは、ただ作品を見るだけではありません。知らない世界に触れるワクワク感、本物だけが持つ迫力、そして「きれいだな」「面白いな」と感じる素直な心。そのすべてが、子どもの感性を磨く貴重な栄養になります。
次の休日は、ぜひご家族で長野県のアートな旅に出かけてみてください。きっと、お子さんのキラキラした目と、とびっきりの笑顔に出会えるはずですよ。