ひな祭りの塗り絵で作る「飾れるおひなさま」

ひな祭りの塗り絵で作る「飾れるおひなさま」

ひな人形を出したいけれど、置く場所がない。収納も大変。そもそも毎年出すのが億劫——。ひな祭りには、そんな悩みがつきものです。

そこで、塗り絵でおひなさまを作ってみませんか。塗って、切って、立てるだけ。場所を取らず、しまうときは紙1枚。しかも子どもが自分で作れます。

この記事では、ぬりえで作る「飾れるおひなさま」の作り方と、和柄をきれいに塗るコツを紹介します。

立てるための工夫

切り抜いた紙は、そのままでは立ちません。立たせる方法は3つあります。

  • 三角の足をつける|厚紙を三角に折って、裏に貼る。いちばん簡単
  • 紙コップに貼る|安定感が抜群。小さい子が触っても倒れにくい
  • 切り込みを入れて組む|台紙に切り込みを入れて差し込む。見た目がすっきり

小さい子がいる家庭なら、紙コップ方式が現実的です。倒れても壊れず、倒しても叱らずに済みます。

台紙には赤い色画用紙を敷くと、緋毛氈(ひもうせん)のように見えて一気にそれらしくなります。

和柄をきれいに塗るコツ

ひな祭りの塗り絵で差がつくのは、着物の柄です。ここを丁寧にやると、一気に完成度が上がります。

1. 地の色を先に塗る

柄から塗り始めると、あとで地の色を塗るときにはみ出します。まず着物全体を薄く塗り、乾いてから柄を描き足す順番にしてください。

2. 柄は3種類まで

和柄はたくさんありますが、1枚の中で使うのは3種類までにすると、まとまって見えます。おすすめは市松模様・麻の葉・七宝の3つ。どれも直線と単純な図形の組み合わせなので、子どもでも描けます。

3. 金色をひとつまみ

冠、屏風のふち、扇。小さい面積に金色を入れると、全体が締まります。金色の色鉛筆がなくても、黄土色を塗って片側に茶色を重ねれば金属らしく見えます。

柄を描く前に、鉛筆で薄く下描きしておくと失敗しません。芯は尖らせておいてください。

ひな祭りの色

ひな祭りには、伝統的な三色があります。桃・白・緑。ひなあられや菱餅と同じ配色です。

迷ったらこの3色を軸にすると、まとまりが出ます。着物の地を桃色、帯を緑、飾りを白。ぜんぶ違う色にするより、ずっと「ひな祭りらしく」見えます。

桃色は、赤をごく薄く塗ると出せます。力を入れると赤になってしまうので、なでるように塗るのがコツです。

飾ったあとの楽しみ

紙のおひなさまの良いところは、毎年つくり直せることです。去年のものと並べると、成長がはっきり分かります。

裏に年と名前を書いて、しまっておいてください。数年分たまると、それ自体が記録になります。

ひな祭りに使えるぬりえ

顔は、塗らないほうがきれいに見える

ひな人形の塗り絵でいちばん結果が分かれるのが顔です。ここを塗りつぶすと、とたんに人形らしさが消えます。

理由は単純で、ひな人形の顔は白いからです。胡粉(ごふん)という貝殻からつくる白い塗料を何度も塗り重ねて作られています。肌色を塗ると、人形ではなく人間の顔になってしまいます。

やることは2つだけ。顔は紙の白のまま残す。頬にだけ薄いピンクを軽く置く。それだけで人形の顔になります。

「白いところを塗らない」という指示は、子どもにはなかなか通じません。「ここは塗らないでとっておく場所だよ」と、塗り始める前に指でなぞって伝えておくと通りやすくなります。

お内裏さまは右? 左?

飾りながら「どっちが右だっけ」となる家庭は多いはずです。実はこれ、地域によって逆です。

並べ方お内裏さま主な地域
関東雛向かって左関東・全国的に多い
京雛向かって右京都を中心とした関西

もともとは京雛の並びが伝統的でした。日本では左(向かって右)が上位とされていたためです。関東の並びが広まったのは大正時代以降で、西洋式の並び方の影響だと言われています。

つまりどちらも間違いではありません。塗り絵の絵柄がどちらの並びでも問題ありませんし、「おうちのお雛様と逆だね」という気づきそのものが会話になります。

しまうタイミングの話

「ひな人形をしまうのが遅れると婚期が遅れる」という言い伝えを聞いたことがあるかもしれません。根拠のある話ではありません。片づけをきちんとしようという教えが、そういう形で伝わったものだとされています。

ただ、湿気を避けるという実用的な理由はあります。人形は湿気に弱いので、よく晴れた日にしまうのが望ましい。3月中旬までの晴れた日、というのが現実的な目安です。

塗り絵で作った飾りなら、この心配はいりません。気が済むまで飾って、写真を撮ってから処分する。紙だからこそできる楽しみ方です。