保育の現場では、ぬりえは定番の活動です。準備が少なく、天候に左右されず、子どもが個々のペースで取り組める。雨の日の室内活動として、これほど扱いやすい教材はそうありません。
一方で、市販の教材は購入に手続きが要り、コピーの可否も確認が必要です。無料でダウンロードできる素材があれば、必要な枚数を必要なときに用意できます。
この記事では、園でぬりえを使うときの選び方と、印刷・配布のコツをまとめます。
年齢クラス別の選び方
| クラス | 選ぶ基準 | 1枚にかかる時間の目安 |
|---|---|---|
| 2歳児 | 輪郭が太く、塗る面が2〜3か所 | 5〜10分 |
| 3歳児 | 面が4〜6か所。形が分かりやすい | 10分前後 |
| 4歳児 | 細部が少しある。好きな題材で選ばせる | 15分前後 |
| 5歳児 | 細かい部分がある。時間をかけられる | 20分以上 |
集団活動では、いちばん早く終わる子といちばん遅い子の差が問題になります。難しめの1枚と、簡単な1枚を用意しておき、早く終わった子に2枚目を渡す。この二段構えにすると、待たせずに済みます。
難易度から選べる一覧は難易度別のぬりえ一覧にまとまっています。
題材の選び方
行事と結びつける
季節の行事に合わせると、そのまま壁面装飾に使えます。塗ったものを飾るところまでを活動に入れると、子どもの取り組み方が変わります。
園外保育とつなげる
散歩で見つけたものを、帰ってから塗る。見た経験と結びつくと、色の選び方が変わります。
公園でどんぐりを拾ったら木の実を、虫を見つけたらその虫を。カブトムシ・クワガタや春の花は、実物と結びつけやすい題材です。
文字への橋渡しに
年長クラスでは、ひらがなのぬりえが使えます。書く練習の前に、塗って形に慣れるという段階を挟めます。
進め方は塗り絵で「ひらがな」を覚えるにまとめました。
印刷のコツ
- 白黒で十分|線画なのでカラー印刷は不要。コストを抑えられます
- 「原寸」で印刷|「用紙に合わせる」だと少し縮小されます
- 少し厚めの紙に|クレヨンやクレパスは筆圧が強く、薄い紙だと破れます
- 予備を多めに|失敗して「もう1枚」と言われる想定で
3番目は現場では特に重要です。クレパスを使う年齢では、普通のコピー用紙では破れることがあります。紙の選び方は塗り絵の紙はどれがいい?にまとめています。
園にプリンターがない、枚数が多くて出力が追いつかないという場合は、コンビニでの印刷方法も使えます。
配るときに気をつけたいこと
- 選ばせる|全員同じ絵より、2〜3種類から選べるほうが集中します
- 完成を求めない|途中でやめてよいことを最初に伝える
- 比べない|掲示するときは、上手い順に並べない
- 名前は先に書く|終わってからだと、誰のものか分からなくなります
1番目が効きます。選ぶという行為が入るだけで、その子にとって「自分の1枚」になります。
画材の使い分け
園ではクレパスが主流ですが、年齢や活動のねらいによって変えると幅が出ます。
- クレヨン・クレパス|広い面。低年齢児。汚れてもよい環境で
- クーピー|消せるので、失敗を気にする子に
- 色鉛筆|年長の細かい作業。就学に向けた持ち方の練習にも
違いはクレヨン・クレパス・クーピー・色鉛筆はどう違う?で解説しています。
利用にあたって
ぬりえ図鑑のぬりえは無料でダウンロードできます。園でお使いになる場合の利用範囲については、塗り絵の著作権と利用範囲にまとめました。正式な条文は利用規約をご確認ください。ご不明な点はお問い合わせからご連絡いただければ回答します。
使いやすいぬりえ
- 難易度別のぬりえ一覧|クラスに合わせて選ぶ
- 人気の塗り絵ランキング|子どもに人気の題材
- 新着のぬりえ一覧|毎回違うものを用意したいとき
クラス全員に配るときの段取り
1枚選んで印刷するのと、30人分を配るのはまったく別の作業です。手順を決めておくと、準備が10分で終わります。
- 前日までに印刷する|当日の朝は必ず何か起きます
- 2〜3種類を用意する|全員同じだと「これがいい」でもめます。選ばせると解決します
- 予備を5枚|失敗して「やり直したい」が必ず出ます
- 名前は先に書かせる|塗り終わってからでは、机の上が乾いていない作品でいっぱいになります
とくに2〜3種類用意するのが効きます。全員に同じ絵柄を配ると、興味のない子が最初から手をつけません。選ぶ場面を1回はさむだけで、取り組み方が変わります。
印刷は白黒で構いません。線画なので、カラーで刷る意味はありません。トナー代も紙も節約できます。
「うまく塗れない子」への声のかけ方
園でぬりえをすると、必ず途中でやめてしまう子がいます。多くは「うまくできない」と感じているためです。
言い方を少し変えるだけで、続くことがあります。
| 言いがちな言葉 | 言い換え |
|---|---|
| じょうずだね | この色にしたんだね |
| はみ出さないようにね | 広いところから塗るとやりやすいよ |
| もっとていねいに | ここ、もう1回重ねてみる? |
| ちがう色じゃない? | (言わない) |
「じょうず」は一見よい言葉ですが、うまい・へたの物差しを持ち込みます。言われた子はよくても、聞いていた別の子が手を止めることがあります。色や塗り方そのものに触れるほうが、全体に効きます。
はみ出しについては、そもそも指摘しないでよいというのが結論です。年齢が上がれば自然に減ります。手先の発達の問題なので、注意しても早くなりません。