雪だるまを塗ろうとして、手が止まる。だって雪は白いから、塗るところがない。
白い色鉛筆で塗っても、紙の白と同じで何も変わりません。かといって塗らずに置くと、そこだけ何もない空白に見えてしまう。
答えは、白いものは白以外で描くことです。この記事では、雪・氷・白い動物を立体的に見せる方法を紹介します。冬のぬりえだけでなく、白い花や雲にも使えます。
白いものは「影で描く」
雪だるまが丸く見えるのは、光が当たっていない部分が暗いからです。つまり影さえ描けば、残りは白いままでいい。
- 光がどちらから当たるか決める(右上からが描きやすい)
- 反対側(左下)に、ごく薄い水色を置く
- 地面と接する部分を、少しだけ濃く
- それ以外は塗らない
塗る面積は、全体の2〜3割で十分です。塗りすぎると白さが失われます。
なぜ「水色」なのか
雪の影をグレーで塗ると、汚れた雪に見えます。水色で塗ると、きれいな雪に見えます。
理由は、実際に雪の影が青みがかっているからです。影の部分には太陽の直射光が届かず、青い空からの光だけが当たっています。だから青く見える。
晴れた日の雪景色を撮った写真を見ると、影がはっきり青いことに気づきます。理屈が分かっていると、迷わず水色を選べます。
- 晴れの日の雪|影は水色。空の青が映る
- 曇りの日の雪|影は薄いグレー。青みは弱い
- 夕方の雪|影は紫がかる。空の色が変わるため
氷は「透明」を描く
雪が「白いもの」なら、氷は「透明なもの」です。塗り方も変わります。
- ふちだけ濃く|輪郭に沿って細く水色を入れる
- 中は塗らない|向こう側が透けている
- ひび割れの線|氷の中の細い線を数本引くと、厚みが出る
- いちばん明るい点|1〜2か所だけ、はっきり白く残す
考え方はガラスと同じです。詳しくは金属・ガラスの塗り方でも扱っています。
白いものは冬以外にもある
同じ考え方が使える題材は、意外とたくさんあります。
| 題材 | 影に使う色 | ポイント |
|---|---|---|
| 雪・雪だるま | 水色 | 地面との接地面をいちばん濃く |
| 白い花 | 水色+うすい黄 | 花の中心側に黄色を少し入れると温かい |
| 雲 | 水色+うすいグレー | 下側だけ。上は塗らない |
| 白い動物の毛 | うすいグレー | 毛の流れにそって短い線で |
| ごはん・クリーム | うすいベージュ | 食べ物の影に青は使わない |
| 白い車体 | うすいグレー | 窓の下、車体の下端だけ |
ひとつだけ例外があります。食べ物の影に水色を使わないこと。冷たく、おいしくなさそうに見えます。ごはんやクリームの影は、うすいベージュや黄土色にしてください。
雪を降らせる
背景に雪を降らせたいときは、空を塗って雪を残すという順番になります。
- 空の部分を、うすい水色やグレーで塗る
- 雪にしたい場所を、丸く塗り残す
- 大きさをばらばらにする(手前は大きく、奥は小さく)
白い色鉛筆で点を描いても、雪にはなりません。空を塗ってから残す。この順番だけ守れば、それらしく降ります。
塗ってみる
影を入れすぎると、汚れて見える
「白いものは影で描く」と言われて影を入れた結果、雪が灰色に汚れて見える——これがこの題材の典型的な失敗です。
原因は2つあります。
- グレーを使った|雪の影は灰色ではなく青みがかっています。グレーは汚れに見えます
- 影の面積が広すぎる|白い部分が半分以上残っていないと、白いものに見えません
目安として、塗る面積は全体の2〜3割まで。残りは紙の白のままにしてください。「まだ足りない」と感じるくらいで、たいていちょうどいい。
やりすぎたと思ったら、練り消しゴムで軽く押さえると色が抜けます。ふつうの消しゴムでこすると紙が毛羽立つので、押し当てて離すのがコツです。
なぜ雪の影は青いのか
「影に水色」は理屈のある話です。
日なたの雪には太陽の光が当たっています。一方、日かげの雪を照らしているのは、空から降ってくる光だけです。空は青い。だから日かげの雪は青く照らされます。
これは雪にかぎった話ではありません。白い壁も、白い皿も、白い犬も、日かげの部分はわずかに青みを帯びます。白いものほど周りの光の色をそのまま映すので、差がはっきり出るというだけです。
逆に、夕方の雪はオレンジやピンクの影になります。空の色が変わるからです。写真を見せながら「今日の空は何色だった?」と聞くと、影の色を自分で選べるようになります。決まった色があるのではなく、その日の空の色が入る——これが分かると、白いものの塗り方は一気に自由になります。