金属を塗ろうとして、グレーで全体を塗る。ガラスを塗ろうとして、水色で塗りつぶす。どちらもよくある失敗で、結果は「灰色い物体」と「青い板」になります。
金属もガラスも、それ自体には色がありません。見えているのは、まわりの景色が映り込んだ姿です。だから塗り方も、他のものとまったく違います。
この記事では、色鉛筆で金属とガラスの質感を出す方法を紹介します。共通するのは「塗らない部分をつくる」ことです。
金属は「明暗の差が激しい」
布や紙は、明るいところから暗いところへなだらかに変化します。金属は違います。明るいところと暗いところが、いきなり隣り合います。
だから金属を塗るときは、グラデーションをつけない。むしろ逆です。
- いちばん明るい面を塗らずに残す
- その隣をいきなり濃いグレーで塗る
- 境目はぼかさない
- 反射の帯を1本、細く白く残す
3番目が肝心です。境目をぼかすと、つや消しの質感になります。プラスチックや陶器ならそれで正解ですが、金属には見えません。
金属の種類で色を変える
| 金属 | 使う色 | ポイント |
|---|---|---|
| ステンレス・銀 | グレー+うすい水色 | 影に水色を少し。冷たい印象になる |
| 金 | 黄土色+茶 | 片側だけ茶を重ねる。黄色だけでは金に見えない |
| 銅・真鍮 | オレンジ+茶 | 赤みを残す |
| 鉄・鋳物 | こげ茶+黒 | 光沢を抑える。塗り残しを少なく |
金色は、黄色で塗っても金になりません。黄土色を敷いて、片側にだけ茶色を重ねる。この「片側だけ」が金属の反射を作ります。干支や正月飾りを塗るときにも使えます。
ガラスは「向こう側が見える」
ガラスの塗り方は、金属よりさらに単純です。ほとんど塗りません。
- 基本は塗り残す|紙の白がガラスの透明感になる
- ふちだけ薄く|輪郭に沿って細く色を置くと、そこに物があると分かる
- 斜めの線を1〜2本|光の反射。これだけで一気にガラスらしくなる
- 向こう側の色を薄く|窓なら空の水色、コップなら中身の色をうっすら
3番目の斜めの反射線が決め手です。ガラス面に細い平行線を2本、斜めに白く残す。実物にはなくても、見る人は「ガラスだ」と認識します。漫画やイラストで使われる約束事ですが、塗り絵でもよく効きます。
乗り物で練習する
金属とガラスが同時に出てくるのが乗り物です。車体は金属、窓はガラス。1枚で両方練習できます。
| ぬりえ | 金属の部分 | ガラスの部分 |
|---|---|---|
| 山手線 | ステンレスの車体。ほぼ塗らない | 窓は濃紺。上端を白く残す |
| 消防車 | はしご・ホースの金具は銀 | フロントガラスに斜めの反射線 |
| フェラーリ | ホイールはグレー。スポークの片側だけ濃く | ガラスは黒ではなく濃紺 |
| クレーン車 | アームの関節を濃く | 運転席のガラスは塗り残し多めに |
スポーツカーのボディは金属の代表例です。手順はスポーツカーの塗り方に詳しくまとめました。
乗り物以外にも使えます
- カブトムシの体|硬い殻は金属に近い。背中の中央を細く塗り残す
- 魚のうろこ|側面に光の帯を残す
- シャボン玉|ガラスと同じ。ほぼ塗らず、ふちと反射だけ
- 甲冑・日本刀|鉄の質感。こげ茶を下地に
考え方は光沢の塗り方と共通しています。あちらがツヤ全般の話で、こちらは素材ごとの違いに踏み込んだ内容です。
塗ってみる
- 電車・新幹線のぬりえ|金属とガラスの両方が練習できる
- 働く車のぬりえ|銀色の装備が多い
- スポーツカーのぬりえ|反射の練習に最適
- 難易度別のぬりえ一覧
金属が難しいのは、色が決まっていないから
金属の塗り方が難しく感じるのには、はっきりした理由があります。金属そのものには、見た目の色がほとんどないからです。
私たちが「銀色」と呼んでいるものは、周りにあるものが映り込んだ結果です。だから、同じスプーンでも、屋外では空の青が、室内では壁の色が映ります。「銀色の色鉛筆」を探しても解決しないのは、そのためです。
実用的な結論はこうなります。
- 上半分に薄い水色|空が映っている想定
- 下半分に薄い茶色かグレー|地面が映っている想定
- その境目をはっきり切る|ぼかすと金属に見えません
この3つだけで金属らしくなります。何色で塗るかではなく、何を映すかを決めるのが、この題材の考え方です。
練習は、身のまわりのもので
金属とガラスは、目の前に置いて見ながら塗れる数少ない題材です。恐竜や深海魚と違って、家に実物があります。
- スプーン|曲面の映り込み。裏側は上下がひっくり返って映ります
- コップ|ガラスの厚みと、底に集まる光
- アルミ缶|円柱の反射。縦に明るい帯が1本入ります
- 鍵|小さくて明暗の差が強い。短時間で試せます
子どもと一緒にやるなら、「どこが白い?」と聞くところから始めてください。塗り方を教えるより、光っている場所を自分で見つけてもらうほうが早い。
見つけた白い場所を紙の白のまま残す。金属もガラスも、突き詰めればこれだけです。