なぜ塗り絵は子どもの成長にいいの?7つの効果と親の関わり方のコツ

なぜ塗り絵は子どもの成長にいいの?7つの効果と親の関わり方のコツ

子どもに塗り絵をさせることには、単なる「遊び」や「暇つぶし」以上に、心と身体の発達に非常に多くの良い影響を与える重要な「狙い」があります。

主な狙いを、発達の側面から大きく3つに分けて解説します。

身体的な発達(指先のトレーニング)

① 運筆力(うんぴつりょく)と筆圧のコントロール クレヨンや色鉛筆を握り、線を描いたり色を塗ったりする動作は、鉛筆を持って文字を書くための基本的なトレーニングになります。

  • 筆圧の調整: 濃く塗ったり薄く塗ったりすることで、力の入れ具合を自然に学びます。
  • 手首や指の動き: 線からはみ出さないように塗ることで、指先や手首を細かくコントロールする能力(巧緻性(こうちせい))が養われます。これは、将来きれいな文字を書くための土台となります。

精神的・認知的な発達(脳のトレーニング)

② 集中力の育成 一つの絵を完成させるために、一定時間じっと座って作業に没頭することは、子どもの集中力を養う絶好の機会です。デジタルの遊びとは違い、自分のペースで静かに取り組む時間は、落ち着きを育む上でも大切です。

③ 創造力と色彩感覚の向上 「りんごは何色にしよう?」「空を虹色にしてみようかな?」など、どの色を使うかを自分で考えて決める過程は、子どもの創造力を大きく刺激します。決まった正解がないため、自由な発想で自分だけの作品を生み出す楽しさを体験できます。

④ 図形や空間の認識能力 「これはお花の形」「ここは葉っぱの部分」といったように、絵の輪郭を認識し、どの部分を何色で塗るかを考えることで、図形を理解する力や空間を把握する能力が自然と身につきます。

⑤ 知識の習得 動物や乗り物、植物などのぬりえを通じて、「キリンはこんな模様なんだ」「消防車は赤いんだ」といった知識を、楽しみながら吸収することができます。

情緒的な発達(心のトレーニング)

⑥ 達成感と自己肯定感の向上 一枚の絵を最後まで塗り終えたとき、子どもは大きな「できた!」という達成感を味わいます。その作品を保護者の方に褒めてもらうことで、「自分はできるんだ」という自信(自己肯定感)につながります。

⑦ リラックス効果と感情の表現 無心で色を塗るという単純作業は、心を落ち着かせるリラックス効果があると言われています。また、言葉でうまく表現できない気持ちを、色使いを通じて表に出す、非言語的な感情表現の手段にもなり得ます。

保護者として関わる際のポイント

  • 結果より過程を褒める: 「はみ出さずに塗れたね」だけでなく、「この色を選んだんだね、素敵だね!」「集中して頑張ったね」など、取り組んだ姿勢や本人の工夫を褒めてあげましょう。
  • 自由に塗らせる: 「空は水色でしょ」などと決めつけず、子どもの自由な発想を尊重してあげてください。
  • 簡単なものから始める: 最初は、塗りつぶす範囲が広く、シンプルな絵柄のものから始めると、達成感を得やすくなります。

このように、塗り絵は子どもの様々な能力をバランス良く引き出すことができる、非常に優れた知育活動と言えます。