スポーツカーのぬりえを赤一色で塗ると、なぜか「おもちゃの車」に見えてしまう。実車の写真はあんなにギラギラしているのに——。
差はどこにあるのか。答えは「塗らない部分をつくれているか」です。スポーツカーの見どころは色そのものではなく、なめらかなボディに映り込んだ光。そこを白く残せるかどうかで、仕上がりが決まります。
この記事では、手持ちの色鉛筆でスポーツカーらしい光沢を出す方法を3ステップで解説します。特別な画材は必要ありません。
大原則|いちばん明るいところは「塗らない」
塗り絵では、つい全部を塗りたくなります。でもツヤのある表面を描くときは、紙の白がいちばん明るい色です。ハイライトを白い色鉛筆で描くことはできません。最初から残しておくしかありません。
そこで、塗り始める前に「どこを残すか」を決めます。スポーツカーの場合はこの3か所です。
- ボンネットの上面|空が映り込むので明るい
- ドアの中央を横に走る帯|車体の折れ目にそって光が走る
- フェンダー(タイヤの上のふくらみ)の頂点
鉛筆で薄く印をつけておくと、塗っているうちに塗りつぶしてしまう事故を防げます。
3ステップで塗る
ステップ1|ベースを薄く、ムラなく
赤いボディなら、まず赤を全体に薄くのせます。このとき、さきほど決めたハイライト部分は完全に空けておきます。
力を入れないのがコツです。濃く塗ると、あとから色を重ねられなくなります。
ステップ2|下側を濃くする
車体の下半分に、同じ赤をもう一度重ねます。上は薄いまま、下にいくほど濃く。この濃淡だけで、平らな面が丸みを帯びて見えます。
ハイライトとの境目は、ぼかさずはっきり分けてください。ツヤのある面は、光と影の境目がシャープに出ます。ここをぼかすと、つや消しの質感になってしまいます。
ステップ3|いちばん暗いところを入れる
最後に、車体のいちばん下・タイヤハウスの内側・バンパーの下に、こげ茶や紫を少し重ねます。黒を使うと沈みすぎるので、赤い車には紫、青い車には濃紺を影に使うと自然です。
この3ステップは、光沢の塗り方の考え方をスポーツカーに当てはめたものです。
パーツ別のポイント
| パーツ | 塗り方 |
|---|---|
| フロントガラス | 黒ではなく濃紺。上端を白く残すと反射に見える |
| タイヤ | 真っ黒にせず、上面をやや明るく。接地面だけ最も濃く |
| ホイール | グレーで塗り、スポークの片側だけ濃くすると金属感が出る |
| ヘッドライト | ほぼ塗らない。ふちに薄いグレーを入れるだけ |
| グリル(前面の網) | いちばん濃く。ここが締まると全体が引き締まる |
車体色ごとの考え方
スポーツカーは、車種ごとに象徴的な色があります。フェラーリなら赤、ランボルギーニなら黄色や黄緑、スカイラインGT-Rなら青系。
ただし「その色でなければいけない」ということはありません。むしろ、自分の好きな色で塗ったうえで、光の入れ方だけ守る。そのほうがスポーツカーらしくなります。色は自由、光は法則——この分け方が伝わると、応用が効くようになります。
実車の色を確かめたいときは塗り絵の参考になる車の図鑑5選もどうぞ。
塗ってみる
- フェラーリ|赤の濃淡を練習する
- ランボルギーニ|面が平らで光の帯が作りやすい
- 86(ハチロク)|丸みのあるボディで濃淡が分かりやすい
- スポーツカーのぬりえ一覧|全24種
メタリックに見えない、と感じたときの原因
3ステップどおりに塗ったのに金属っぽく見えない。そういうときは、次のどれかが起きています。
| 症状 | 原因 | 対処 |
|---|---|---|
| のっぺりする | 明暗の差が足りない | 暗部をもう1段濃く。中間は触らない |
| 汚れて見える | 白を残さず全面を塗った | ハイライトを消しゴムで抜く |
| 境目がぼやける | グラデーションにしすぎ | 反射の境目は1本、はっきり切る |
いちばん多いのは3つめです。金属の反射は、じつはぼやけていません。布や肌はなめらかに明るさが変わりますが、磨かれた金属は明るいところと暗いところが線で切り替わります。だからボンネットの反射は、ぼかさずに切ったほうが本物に近づきます。
逆に言うと、ぼかす場所とぼかさない場所を分けるのがこの題材のすべてです。曲面のふくらみはぼかし、映り込みの境目は切る。
つや消しの車は、塗り方がまったく違う
近年よく見るマットカラー(つや消し)の車は、ここまでの方法が通用しません。
つや消し塗装は表面が細かくざらついていて、光をあちこちに散らします。その結果、強いハイライトも、はっきりした映り込みも出ません。塗るときは白を残さず、明暗の差もごく弱くします。3ステップのうち、ステップ3をほとんど省くイメージです。
同じ絵柄を「つやあり」と「つや消し」で塗り分けてみると、この違いがよく分かります。2枚並べると、光沢とは何かが目で理解できます。練習としてもよくできた題材です。
ちなみにレースカーの多くはつや消しに近い塗装です。軽さを優先してクリア層を省くためで、見た目の好みだけの話ではありません。