動物の毛並みの塗り方|ふわふわに見せる線の重ね方

動物の毛並みの塗り方|ふわふわに見せる線の重ね方

犬や猫のぬりえを塗ると、ぬいぐるみのようにのっぺりしてしまう。毛の生えている感じが、どうしても出ない。

原因は色ではありません。手を動かす向きです。ぐるぐる塗ると、毛は消えます。毛の流れにそって短い線を重ねるだけで、同じ色鉛筆でもふわふわに見えてきます。

この記事では、動物の毛並みを表現する方法を紹介します。特別な画材は要りません。

大原則|毛の流れにそって塗る

動物の毛には、生えている向きがあります。頭から背中、背中から尾へ。脚は付け根から先へ。ほとんどの毛は、体の中心から外へ向かって流れています。

塗るときは、この向きに合わせて短い線を何本も引くイメージで手を動かします。ひと筆で塗りつぶさず、1cmくらいの線を重ねていく。

線の向きがそろっているだけで、毛が生えているように見えます。色を変える必要すらありません。

ふわふわに見せる3つのコツ

1. 輪郭からはみ出す

意外に思われるかもしれませんが、輪郭線の少し外まで短い線を引くと、毛が飛び出しているように見えます。

きっちり線の中に収めると、逆に硬い印象になります。特に体の輪郭の外側、耳のふち、しっぽの先。ここだけ意図的にはみ出させてください。

「はみ出してもいい場所がある」と伝えると、子どもは安心して手を動かせます。

2. 境目をぼかす

毛色が変わるところ——白と茶色の境目など——を、線でくっきり分けないでください。両方の色を少し混ぜると、毛が入り混じっているように見えます。

やり方は簡単で、境目の部分に両方の色で短い線を交互に引くだけです。

3. 白い毛も塗る

白い毛を紙の白のまま残していませんか。それだとそこだけ穴が空いたように見えます。

影になる部分——お腹の下、脚の内側、あごの下——に薄いグレーや水色を入れてください。白いまま見えるのに、立体感が出ます。

黒い毛は黒で塗らない

黒い犬や黒猫を黒一色で塗ると、影絵になってしまいます。

実物の黒い毛は、光が当たると茶色っぽく、あるいは青みがかって見えます。こげ茶や濃紺を下地に塗り、その上から黒を重ねてください。下に色があるだけで深さが変わります。

背中の光が当たる部分は、黒を薄くするか塗り残す。これで毛のツヤが出ます。

毛の長さで塗り方を変える

毛のタイプ塗り方例
短い毛ごく短い線を密に。輪郭はほぼはみ出さない柴犬、馬、鹿
長い毛長めの線を流れにそって。輪郭から大きくはみ出すポメラニアン、ライオンのたてがみ
巻き毛短い曲線を小さく重ねる。方向をそろえないトイプードル、羊
硬い毛直線的に、間隔を空けてイノシシ、ヤマアラシ

巻き毛だけは例外で、向きをそろえません。小さな曲線をランダムに重ねると、もこもこして見えます。トイプードルで試すと分かりやすいです。

模様のある動物

トラのしま、猫のキジトラ、牛のぶち。模様のある動物は、模様の境目も毛でできていることを思い出してください。

くっきり塗り分けると、シールを貼ったように見えます。境目に両方の色を少し混ぜるだけで、生えている感じが出ます。

模様の位置や流れは図鑑で確認できます。犬・猫の図鑑5選や動物の図鑑5選にまとめました。

練習に向いているぬりえ

ふわふわに見えない、いちばんの原因

コツを守っているのにふわふわに見えない。そういうとき、原因はほぼ輪郭線にあります。

ぬりえの絵柄には、体の外側にはっきりした線が引いてあります。この線を残したまま内側だけを塗ると、毛ではなく「ふちどりされた面」になります。どんなに中を丁寧に塗っても、この線がある限り硬く見えます。

対処は2つです。

  • 線の外へ毛を伸ばす|短い線を線の外側に何本も足す。線が毛の中に埋もれます
  • 線の上を同系色でなぞる|黒い線の上から茶色を重ねると、線の存在感が下がります

実物の動物に輪郭線はありません。あるのは、毛の先が背景に溶けていくぼんやりした境目だけです。線を消すのではなく、線をぼやかす。ここが分かると、動物の塗り方が一段変わります。

道具を1本だけ足すなら

毛並みの表現は、色鉛筆の先の状態でほぼ決まります。

先の状態向いている作業
とがっている1本ずつの毛、ひげ、目のまわり
少し丸い広い面のベース、ぼかし
寝かせて使う下地。むらなく薄く乗ります

つまり削りたての鉛筆と、少し使った鉛筆を両方持っておくのが理想です。同じ色を2本用意するのは無駄に見えますが、毛並みではこれが効きます。

もう1本足すなら白の色鉛筆です。塗った上から強くこすると、下の色がのびて境目がぼけます。白い毛を描き足すのにも使えます。ふわふわ感に直結する道具は、じつはこれだけです。

綿棒やティッシュでこするぼかしは、色鉛筆ではあまり効きません。粉が少ないためです。パステルやクレヨンなら有効ですが、道具を増やす前に鉛筆の先を見直してください。