魚のぬりえを塗ると、なぜか平べったい魚拓のようになってしまう。うろこの1枚1枚を塗り分けたのに、光っている感じが出ない。
原因ははっきりしています。魚の体は、1枚ずつ塗り分けるものではないからです。実物の魚を見ると、うろこは細かく並んでいますが、目に入るのは体全体を走る光の帯のほうです。
この記事では、魚をつやつやに見せる塗り方を紹介します。うろこを1枚ずつ塗る必要はありません。
大原則|体の側面に「光の帯」を残す
魚の体は丸い筒のような形をしています。上から光が当たると、側面の少し上あたりに明るい帯ができます。
この帯を、頭から尾まで塗らずに残す。これだけで、体が丸く、しかも光っているように見えます。白い色鉛筆で後から描いても同じにはなりません。最初から空けておく必要があります。
帯の幅は、思い切って細くしてかまいません。細いほど、つるつるした質感になります。
3層で塗る
- 背中側|いちばん濃く。青や濃い緑、こげ茶
- 側面|中間の明るさ。光の帯だけ塗り残す
- お腹側|ほとんど塗らない。白いまま残す
この「背中が濃く、お腹が白い」という配色は、多くの魚に共通します。上から見ると海の色にまぎれ、下から見ると空の明るさにまぎれる。身を守るための色です。
理屈が分かると、子どもは自分で判断できるようになります。
うろこはどう塗るか
ぬりえの線画にうろこが描かれている場合、全部を塗り分けないでください。塗り分けるとかえって平たく見えます。
やることは2つだけです。
- 体全体を先に塗る|うろこの線を無視して、背中〜お腹の濃淡をつける
- 数枚だけ縁を濃くする|光の帯の近くにある数枚だけ、うろこの線に沿って濃い線を入れる
全部やらないのがコツです。一部だけ強調すると、見る人の脳が残りを補完します。全部を均等に塗ると、模様にしか見えません。
ひれと目
- ひれ|半透明。薄く塗り、骨の筋にそって濃い線を数本引く
- 尾びれ|付け根を濃く、先端を薄く。動きが出る
- 目|黒く塗りつぶさず、白い点を1つ残す。生きているように見える
- えら|線のまわりだけ少し濃くする
3番目の「目に白い点」は、どの生き物でも効く技です。塗りつぶした目と、点を残した目では、印象がまったく違います。
魚別のヒント
| 魚 | 塗り方のポイント |
|---|---|
| カクレクマノミ | オレンジと白の帯。白い部分は塗らずに残す |
| マンボウ | うろこがない。全体をなめらかなグレーの濃淡で |
| マグロ | 背中の濃紺からお腹の銀白へ、大きくグラデーション |
| 真鯛 | ピンクの体に青い斑点。斑点は最後に少しだけ |
| タツノオトシゴ | 体の節を1つずつ濃淡で。縦に長い形を活かす |
マンボウのようにうろこのない魚もいます。その場合は光の帯だけで質感を作ります。かえって簡単です。
水の中を描くなら
背景まで塗るときは、水面から差し込む光を意識してください。上のほうを明るい水色、下にいくほど濃い青。魚の体と同じ考え方です。
波の表現は海の波の塗り方にまとめています。
塗ってみる
- 魚のぬりえ一覧|全27種
- サメのぬりえ|背中とお腹の塗り分けが分かりやすい
- 塗り絵の参考になる魚の図鑑5選
- 海の生き物の図鑑5選
うろこを全部描くと、失敗する
絵柄にうろこの線が入っていると、つい全部を1枚ずつ塗り分けたくなります。これがいちばんよくある失敗です。
理由は、実際にうろこが1枚ずつ見えるのは、光が当たっている一部だけだからです。暗い部分のうろこは、目ではほとんど識別できません。全部を均等に描き込むと、魚ではなく網目模様になります。
やるべきことは逆で、描き込む場所を減らすことです。
- 光の帯のすぐ下|ここだけうろこを1枚ずつ。数にして10〜20枚で十分
- 背中側|濃い色で覆って、うろこの線を消してしまう
- 腹側|ほぼ白のまま。線をなぞる程度
一部だけ描き込むほうが、全部描くよりうろこに見えます。見る側の目が、残りを勝手に補うからです。
なぜ魚は背中が青くて腹が白いのか
この塗り方には理由があります。カウンターシェーディングと呼ばれる、多くの水中生物に共通する体色です。
上から見下ろされたとき、背中が暗ければ海底の暗さにまぎれます。下から見上げられたとき、腹が白ければ水面の明るさにまぎれます。どちらの方向から狙われても見つかりにくい、という仕組みです。
だから上下で色を分けるのは、単なる塗り方のコツではなく、実際にそうなっているということです。アジもサバもマグロも同じ。イルカも同じです。
例外は、隠れる必要が薄い魚たちです。サンゴ礁の魚が派手なのは、姿を見せることに別の意味があるからだと考えられています。深海魚が真っ黒なのも、そこに光がないからです。塗る前に「この魚はどこにいるのか」を考えると、色の選び方が変わります。