塗り絵のレクは、準備が少なく、ひとりずつのペースで進められる活動です。ただ、実際に始めてみると「10分で終わる方と、30分たっても1色目の方がいる」「何をすればいいか分からず、手が止まってしまう」といった場面にぶつかります。
題材と難易度の選び方はデイサービスのレクで使えるぬりえ|題材と難易度の選び方にまとめました。この記事では、その先の当日の進め方を扱います。時間の組み立て、声かけ、終わらない方・乗り気でない方への対応、作品の飾り方まで、職員の方の手間が増えない形を中心に紹介します。
1回40分の組み立て方
| 時間 | すること | ねらい |
|---|---|---|
| 0〜5分 | 今日の絵を見せて、季節の話をする | 手を動かす前に、絵と自分の記憶をつなげる |
| 5〜10分 | 図案と色を選んでもらう | 「選ぶ」こと自体を活動にする |
| 10〜35分 | 塗る(途中で1回、休憩の声かけ) | 手と目の疲れをためない |
| 35〜40分 | できたところを見せ合う・名前と日付を書く | 未完成でも「ここまで」で区切る |
ポイントは、最初の10分を塗る時間にしないことです。いきなり配って「どうぞ」と言うと、何色から塗るか決められずに止まる方が出ます。先に季節の話をして、色を選ぶ時間をとると、塗り始めがぐっと楽になります。
よくある失敗は、全員が完成するまで待つことです。早く終わった方は手持ちぶさたになり、時間がかかる方は焦ります。終わりの時刻を先に伝え、「続きは次回に」と言える形にしておくと、どちらも落ち着いて取り組めます。
準備と片付けを短くする工夫
職員の負担になりやすいのは、塗る時間より前後の手間です。次の3つを決めておくだけで、準備と片付けがそれぞれ5分ほどで済むようになります。
- 色鉛筆はテーブルごとに1セット|トレーやかごに入れておき、配るのも回収するのもトレーごと。数の確認も一度で済みます
- 印刷は前日に、難易度ごとに分けて|かんたん・ふつう・細かいの3つの束にしておくと、当日はテーブルに並べるだけです
- 鉛筆けずりは終わりにまとめて|途中でけずり始めると、その方の手が止まります。短くなった色は予備と交換します
座る位置も意外と大事です。手元が明るい窓側や照明の下に、見えにくさのある方に座ってもらうと、それだけで塗れる範囲が広がります。
声かけの言いかえ表
同じことを伝えるのでも、言い方で手の動きが変わります。現場でよく使う言葉を、言いかえの例と並べました。
| 言いがちな言葉 | 言いかえの例 | 理由 |
|---|---|---|
| はみ出さないように | 好きなところから塗りましょう | 失敗を意識すると、手が止まりやすい |
| 上手ですね | この赤、きれいですね | 具体的な一言のほうが会話が続く |
| 早く終わらせましょう | 今日はここまでにしましょう | 急かされると、雑になる・やめてしまう |
| この色で塗ってください | どの色にしますか | 選ぶことが、その方の作品になる |
「本物の色」にこだわる必要もありません。青いりんごや紫の桜も、その方の作品です。正しい色を教える場ではないので、色についての指摘はなるべくしないほうが、次の回にも参加してもらいやすくなります。
終わらない方・乗り気でない方への対応
終わらない方には、絵を途中で区切る方法が使えます。「今日は花だけ」「次は葉っぱ」と、塗る場所を決めておくと、毎回「できた」で終われます。何回かに分けて1枚を仕上げるのも、立派な活動です。
乗り気でない方に、無理に塗ってもらう必要はありません。色鉛筆を配る係や、できた絵を見て感想を言う役など、塗る以外の参加のしかたを用意しておくと、その場にいること自体が楽しくなります。「子どもの遊びみたい」と感じる方には、細かい図案の大人の塗り絵を見せると、反応が変わることがあります。
例外として、手の痛みや見えにくさがある日は、塗り絵より会話を中心にしたほうがよい場合もあります。その日の体調に合わせて、短い時間で切り上げる判断も大切です。
作品の飾り方と、ご家族へのつなぎ方
- 名前と日付を裏に書く|掲示を外したあと、誰の作品か分からなくなるのを防ぐ
- 季節ごとに掲示を入れかえる|「今月の絵」として廊下や食堂に。会話のきっかけになる
- 台紙に貼ってカレンダーにする|月ごとの絵を12枚集めると、1年の記録になる
- ご家族に見せる|面会のときや連絡帳で。「最近こんな絵を塗っています」と話題が生まれる
未完成の絵も、塗ったところまでで飾ってかまいません。完成した絵だけを飾ると、時間がかかる方が「自分の絵は出せない」と感じてしまいます。
季節の題材 年間カレンダー
題材を毎月考えるのは手間なので、1年分の目安を表にしました。どれもぬりえ図鑑から無料で印刷できます。
| 月 | 題材の例 |
|---|---|
| 1月 | 鏡餅・干支 |
| 2月 | 節分・雪だるま |
| 3月 | ひな祭り |
| 4月 | 桜・お花見 |
| 5月 | 鯉のぼり・こどもの日 |
| 6月 | 紫陽花 |
| 7月 | 七夕 |
| 8月 | 花火・ひまわり |
| 9月 | お月見・敬老の日 |
| 10月 | ハロウィン・コスモス |
| 11月 | 紅葉狩り・菊 |
| 12月 | クリスマスツリー・クリスマスリース |
行事の2〜3週間前に塗ると、当日の掲示に間に合い、行事の話題も盛り上がります。季節の絵は季節・行事の塗り絵に、文字や数字の塗り絵もふくめたレク向けの絵は高齢者レク・脳トレに使える塗り絵にまとめています。
施設で配るときに確認しておくこと
ぬりえ図鑑の塗り絵は、施設のレクで印刷して配ることができます。ただし、塗り絵そのものを販売したり、ほかのサイトに載せたりすることはできません。配布や掲示の範囲は塗り絵の著作権と利用範囲|学校・園・施設で配るときの注意点で確認してください。
塗り絵は、うまく塗ることよりも、その日その場で手を動かし、話をする時間に意味がある活動です。進め方を少し整えるだけで、職員の方の負担を増やさずに、参加する方の「またやりたい」を引き出せます。